〈本〉村上T 僕の愛したTシャツたち 村上春樹

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人生の中で何かを熱心に集めたことってあったっけな?ということを読みながら考えていた。

うーん。猫のグッズは割と集めてる。それこそ村上春樹の小説やエッセイはほぼ集めてると言えるだろう。あとは、昔から映画の半券とか旅行で行った場所のパンフレットなんかは捨てられずなぜかファイリングしてる。

人って何のために物を集めるのかなーとたまに考える。インターネットで全てが繋がっていく世界で、情報や体験はバーチャル上で事足りるようになるだろうと思う中で、物体の価値ってなんなんだろうとかそんなことも気になってくる。

そんなことは置いておいて、村上春樹のTシャツにまつわるエッセイはとにかく楽〜に、くすっと笑いながら読める本だった。

適当に集めたTシャツ(適当に集めてるわけではないだろうけど笑)を見ながら、そのTシャツを買った時の思い出とかそのTシャツにまつわるちょっとした素敵なエピソードを話せる人生こそ、豊かな人生ってものなのかもしれないとまで思うくらい、なんだか色んな思い出やエピソードを通して人生をほんのちょびっと見せてもらえた感覚だった。

私が一番気に入ったのは、ダーウィンに70分水に浸けられて死んじゃった、ガラパゴス諸島のイグアナの話。

なんだかイグアナの気持ちなんて今まで一度たりとも考えたことはなかったけど、確かに物事には表と裏というものがあって進化論だってイグアナの犠牲の上に成り立ってるんだなあとなんだかしみじみ思いながら、Tシャツからこんな話を想像しちゃってることにくすっと笑えてきちゃったのです。

そう。やっぱり実体のある物があるから、深みや重みがでることってあるよなーと。やはり手触りがあること、間違いなくそこにあるってことが人間にとって安心できるというのはやっぱりずっと変わらない事実なんじゃないかな〜と。

そんなことを考えた村上春樹のTシャツの本でした。
個人的には、最後の章のインタビュアーが、この頃ハマってるラジオ”Traveling without moving”の野村訓一さんだったのが、なんだか嬉しくなりました。

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