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呪われた女 26

                   立川M生桃

たけのこ婆は、乞食の男に言われた通りに、毎日、毎日、般若心経を唱えた。

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来る日も来る日も般若心経を唱えていると、山の精霊達が次々と姿を現した。

しかし。まだ。本物ではなかった。黄金に輝く精霊の姿はまだ無かった。

たけのこ婆は、八万回になった所で、初めて、法華経を唱えることにした。

成る程。あの。乞食の爺さんが言ってた通りだね。

修行をしてない者は、法華経を簡単に唱えられない。

わたしやぁ。般若心経を八万回唱えたから、やっと、法華経を唱える事ができるようになつた。

何て難しい、お経なんだろうね。

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法華経を唱えると不思議なことに若い女が、たけのこ婆を訪ねてきた。

お前さん。般若心経から法華経を唱えるようになったのかい。

お前さん。何故なんだい? 折角、お経を唱えるのなら、お前さんの先祖を祀る仏壇で唱えないで、何の意味があるんだい?

いいかい? 先祖を祀る仏壇で、ちゃん先祖供養をしながら修行をしなさい。

たけのこ婆は、それまで自分の部屋で、ただお経を唱えていたのだ。

えっ。 そうだったのかい? 知らなかったよ。

そんな事、誰も教えちゃくれない。

あの乞食の男も、そこまで詳しく教えてくれなかった。そう思った、たけのこ婆は、また、悪い心を出してしまった。

すると、若い女が、お前さん。そんなことじゃあ。いつまで経っても、この山も復活できやしないよ。

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そう言って、笑って、たけのこ婆の家を後にした。



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