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わがまま婆さん 2

             立川M生桃


 わがまま婆さんの住む山の奥深くには、季節の果物が実を付けることがありませんでした。それでわがまま婆さんは、毎年毎年5月のお祀りで果物の苗を買っては山に植えておりました。

 しかし実がなる前に必ず枯れてしまいます。わがまま婆さんは、仕方なく隣村の畑に行って野菜の苗を盗んでは、自分の畑を作り、そこへ植えていました。

 わがまま婆さんは、自分の畑の苗が大きくなって食べ頃になり、嬉しさのあまり、職場で自慢をしてしまいました。

 するとわがまま婆さんの顔の大きなイボから沢山の小さな子供イボが産まれてしまいました。皆はキモティちゃんからイボティちゃんと呼び名を密かに変えて呼んでいたのです。


 わがまま婆さんは、呪いにあったと職場の人間が私を妬んで呪ったと一回り年下の女に毎日、毎日同じ話をするのでした。わがまま婆さんのイボは無くなりません。

 一回り下の女がわがまま婆さんに何か悪い事をしたから、罰が当たっているのではないかと?わがまま婆さんに訪ねると、何も悪い事はしてない。そう言って、真実を話す事がありませんでした。

 それからもわがまま婆さんは、隣村の畑に行って苗を盗んでは自分の畑に苗を植えるのでした。

 わがまま婆さんは畑と田んぼの土地も持っていました。田んぼの土地が1000坪ありました。その田んぼの苗だけは、農協で買っていました。田んぼの苗を植えるのに、それだけの広大な土地なので、家族総出になって苗を植えていました。

 ある時、収穫した米を次女が売りに行きました。作った5分の2を売ってくれたと喜んでいました。後の5分1を何かあった時用に備蓄米として納屋に隠していました。

 しばらくして、その備蓄米が無いことに気がつきました。米を盗む者がいるからと、わがまま婆さんは、自分の住む山に落とし穴をそこら中に作ったのです。

 しばらくして、一回り年下の女がその落とし穴に足を落としました。するとわがまま婆さんがお前が米を盗んだ犯人だと言って、米を返せと責めるのでした。

 一回り年下の女は、限界を更に超えていたのですが我慢をしていました。しばらくして、わがまま婆さんがその落とし穴に足を落とし怪我をしました。

 一回り年下の女は、わがまま婆さんが片方の足がびっこを引くのでおかしいと思いました。色々話をする中で、自分で作った落とし穴に落ちたと話したのです。すると、わがまま婆さんの顔の小さなイボの1つが大きなイボの中に吸収されていきました。


 わがまま婆さんは、これだと思ったのです。

  

  つづく









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