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超ピッチピチな女

                              M生桃

その人は長いこと、豆腐コーナーを一人で陣取っていた。

それはそれは、インパクトがある。ピンク色の白衣がピッチピチで、今にも、はち切れそうで、苦しそうに買い物をしていた。

とある、アニメのキャラクターだと、心の中で笑ってしまった。

まさか、その超ピッチピチな女と一緒の職場になると、この時、誰が予想できただろうか?                 

私は前の職場を退職し、一から勉強のつもりで面接を受けた。あっさり、採用が決まり期待と不安の中、紹介された瞬間に嫌な予感がした。

 このインパクト、何処かで見かけたような気がする。一体何処で見たのだろう?

仕事を他の人に教わりながら、しばらく様子をうかがった。突然、思い出したのだ。

  もしかして、長いこと、図々しく陣取った。あの時の超ピッチピチ。こんな事もあるのか? 

私は密かに「超ピッチピチ」と心の中で女にニックネームをつけてしまった。

 それは、小型のチョイ太めの事務の事だった。いい。よく聞いてね。あの人は今迄も独身、これからも独身だから、私は1度、結婚して離婚したの。あの人と違うの。だから、彼女が可愛そうだから、結婚の話や家庭の話。恋人の話をしたら可哀想だから、その手の話はしない方が貴方のためよ。わかつた?

そう言って、超ピッチピチの自慢話が続いた。

超ピッチピチは自分の体型を棚に上げて、人に太っていると指摘する事も好きだった。

超ピッチピチは、皆に食べ物を買って渡すのが好きだ。しかも、レアな食べ物だったり、高級品なスィーツだったりする。

そして、相手の悩みも聞いてアドバイスをかなりしていた。それを観察していると、相手に仕事を全部させて、自分のおりやすいようにする為だけの作戦で、薄ペラい人間だった。

若い奴隷その1が、どうやら、その事に全く気が付いていないようだ。それどころか、超ピッチピチを信じきっていた。

超ピッチピチが、どれ程立派な人間なのか? 若い奴隷1に恋人の就職の事で、あれこれアドバイスをしていた。

しかし、奴隷1の方から相談したわけでもなく、明らかに聞き出しているのだ。

相手を煽り不安にさせ、貴方の味方だと甘く優し、く呟くように相手の心の中へ刷り込んでいく。

私には詐欺師のように見えた。奴隷1は、恋人の事で不安もあるのだろう、味方だと言われ、まして毎日何かしらの食べ物のプレゼント攻撃に遭っていた。

奴隷1の恋人は大学院生で、遠距離の付き合いに我慢できず、彼を追ってきたのだった。

若い二人が一緒に住んで、節約の生活なのか? 超ピッチピチが、職場にお米を30キロを持ってくる。私一人じゃ食べきれないから、手伝ってと言って渡すのだった。

その時、私にも10キロくれたのだ。断る理由もなく、最初は貰ってしまった。

みんなは、超ピッチピチに、お返しをしない。お礼を言うだけだった。

しばらく、更に様子をうかがった。そのうち、私にまで毎日、毎日馬鹿みたいに食べ物をくれる様になった。

とうとう、私の番がやってきたのだ。話もしないのに、超ピッチピチは、勝手に私専用のストーリーを作っていた。なんて恐ろしいことか。私が超ピッチピチよりも劣っていて、不幸じゃないといけない設定なのだ。

そして、奴隷1が結婚のため退職してしまい。私を奴隷に何とかしようと企てていた。

やり方は、上から頭ごなしに、勝手にアドバイスをしてくる。

世間知らずだと腐した後、フォローし、心配していると言い出すパターン。

奴隷1の時も何かと決めつけていたが、内容は違えどやり方は同じだった。

私は奴隷1より、長く生きているので、超ピッチピチの考えが手に取るようにわかるのだ。

たまに、超ピッチピチが本音を吐くのだった。

こんな、超ピッチピチを立て、仕事をしなければならないのか、と思うと苦痛で仕方なかった。

ある時、若い患者が来た。華やかな化粧をしていた。患者が帰った途端。あの化粧の仕方は何?おかしくない?ほっぺが真っ赤で変よね。と超ピッチピチが言って患者を腐した。しかし、次の日、その患者と同じ化粧の仕方だった。

超ピッチピチ本人は、かなり自信を持ち、美しいと勝手に思っているようだった。

それは、本人の自由だが、化粧の仕方がおかしいと言って、何故?その真似をするのか?不思議で仕方なかった。まるで、超ピッチピチがすると、おてもやんなのだ。 超ピッチピチは、必ず人の批評をする。超ピッチピチは、人を認める事がない。人を褒めない女なのだ。

いつも、自分が綺麗で美しく、物知りで世の中の事を良く知っており、世渡り上手だと豪語するのだった。

続く。



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