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向日葵の協会と長い夏休み 詠√読了

読み終わりました。
ひまなつのメインヒロインでありメインルートである詠ちゃん√でございます。待ってました。
先にやったルカ√・金剛石√よりも力が入っていて一番読み応えがあるとの前評判でしたが…
実際良い話でした。伏線回収もばっちりでしたし。
ただ、読み前に思っていたほどルカ√との差は少なかったと思います。話も少しだけ似てますしね。
だから期待値よりちょっとだけ下です。
それでも良い内容だったことに変わりはありません。

ただ他の√と比べて明確に良かった点が、詠√においてのひまなつは間違いなく雰囲気ゲーであり夏ゲーだったと言えること。
上記の前評判があって始めたこのゲームですが、雰囲気ゲーという部分においてはここまで少し懐疑的でした。
しかし流石メインルート、タイトルにも寄り添った良い夏を、良い雰囲気を感じられる、そしてそうした雰囲気があるからこそ成り立っている物語だったことを感じさせます。
核になる寝子麗周りももちろんそうだったんですけど、エピローグの語りがいっちゃんよかった。
ケロQ/枕っぽい、すかぢ先生らしい語り部だったと思います。

それでは以下感想。ネタバレ注意です。













他の2人よりも過去に共に過ごした期間が長かったからでしょうか、ルート入りしてからは2人だけの会話が多く親密さも深く見えます。
各エピソードで必ず途中で回想が入りますし。

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ルート序盤は子供詠がただただ可愛かったです。
服がいいんだ服が…

序盤から伝奇的な内容が続きますが、本筋の詠自身の話に入るのは結構急展開で駆け足だったように感じました。
後からきちんと説明があるので問題ありませんが、木に登ってから詠が逃げるまでの流れは割と置いてきぼり。このシーン自体は凄く良いシーンですけど。

そして話は本筋、詠自身の回想へと入ります。
ゴリゴリの伏線から詠=黒猫っていうのは誰もが分かっていたことですが、今の詠と過去の詠が別人というところまでは読めませんでした。
1人の男の子と人間に化けた一匹の猫ではなく、三人の物語だったんです。
僕はこの回想の間ずっと今の詠、黒猫に感情移入をしていました。
1人になった陽介を可哀想と思った時、力を得てマガイになった黒猫。
自分の目で見ることができない陽介と詠のおとぎ話を黒猫に託した詠。

2人のことを思い続けたからこそ、詠であり続けて陽介と幸せな日々を過ごし詠へ物語を届けた。
だからこそ、陽介との別れで「さよなら」を言えなかったのでしょう。
死に行く詠を置いて約束を果たすためにバス停へ向かった黒猫がさよならを言ってしまったら、それは詠とのさよならでもあるから。
だから…またね。

それでも黒猫は悩み悲しみ続けます。
私は偽物。陽介にお別れを言うべきだったのは私じゃなくて本当の詠だったんだって。

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その時詠が放ったこの言葉が深く胸に刺さりました。
死に逝く詠が語るからこそ、この言葉には説得力があって重みを感じます。
そして、陽介に別れを告げた同じバス停前で詠とも別れた黒猫。
3人で紡いでいた物語が終わり、ひとりぼっちに戻ってしまいました。


それから黒猫は悔い続けます。
詠から幸せを横取りしたこと、陽介をだまし続けたこと。
自分を責め続けて後悔を抱えながら、帰ってきた陽介と出会ってしまう。
本来の猫へと戻り、猫らしい怠惰な生活を続けていた黒猫。
それでも、自分の力が陽介を幸せにするものと信じてまた詠になる。
けど、ダメだった。自分の力が皆を巻き込み始めて自分は半端者なのだと。居てはいけない…消えなければいけない存在なのだと。

黒猫は自分で言うように実際怠惰だったんだと思います。
自分がマガイになったのも本当にただかわいそうと思っただけで。
たったそれだけで、怠惰な自分が詠の代わりになってしまった。幸せを奪ってしまった。
勝手に力を得て、幸せにしたかった人までを巻き込んで。
この時の気持ちを考えるともう悲しくて苦しくて。

でも、違った。誰も不幸になんてなってなかったんです。
陽介と詠、2人のおとぎ話。その詠に自分が取って代わってしまっていたと思っていた黒猫。
しかし陽介は初めからわかっていたんです。詠が黒猫であったことを。
最初から3人の物語だったことを。
この時の伏線回収もかなり震えました。

本当の詠は陽介へと別れを告げ、黒猫は2人に受け入れられ、救われる。
最後には正真正銘の人間の女の子、詠となって…
最高のハッピーエンドです。いい話でした本当に。


EDを挟んでそこからは消化試合。
他ルートでも思いましたけど、付き合ってからエロシーンが多いのはコンセプトとしてはもちろんなんですけど、エピソード自体もエロ関連の物多すぎませんか?ひまなつ。
これ移植版どうなってんの大丈夫?日常シナリオも置き換えられたりしてるんですかね。
月子√もやりたいですしCS版が気になってきました…

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寝てるときからナニしてるときまで、何かと涎垂らしがちなのかわヨ。


以上感想でした。ええ話じゃった…詠かわいいし。
全ルートを通じて陽介はできた主人公であり続けてますよね。作中で年上だからなのもあるのかな。
基本、ヒロインが心や現実に抱える問題を陽介が解決して受け入れるって流れですし。
にしても詠√はよくできたシナリオでした。最も評価されているのもよく分かります。
伏線的な話をすると、ペットセメタリーが詠√では重要な場所で大きく絡んでくるんやろなあと踏んでいたのですが、案外そうでもありませんでしたね。大外れだ。

残すはヒナ√のみとなりました。
僕にとってはここからが大本命。しっかり時間を取って楽しもうと思います。
向日葵の協会で過ごす、最後の夏休みを。

オットセイに課金してもガチャは回せません。