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恨み貯金

 生きていく上で貯金は大切だが、大切ではない貯金をしてしまう人もいる。それは「恨み貯金」と言われているものだ。世の中には何かと恨みごとの多い人たちがいる。「あいつは楽している。」「あいつのせいで。」などなど。「そんなに他人のことばかり気にしていて人生楽しいのだろうか?」と思うのだが、「恨む」ことがその人の生きがいになっているのかもしれない。

 恨みというのは規模を大きくすると、国同士の関係にも垣間見える。例えばアジアの国々が軍隊で武装しているのに日本が少しでも自衛隊の能力を強化しようと動くと、韓国をはじめ近隣諸国から「第二次世界大戦の再来か!」といった猛反発を受ける。それだけ恨みというのは根深いものだ。

 恨みを買うのはもちろん良くないことだが、恨みを引きずるのも当然良くない。人間は上を向くことで向上できるのに、常に下を見続けると結局その程度の人間で終わってしまう可能性が高くなる。下を見続けると現状維持すら危うくなる。

 アラブの春による革命が散々な結果に終わったのは、恨み節による革命だったからではないだろうか?「あいつらは良い。それに比べて自分は。。」「あいつらは自由がある。それに比べて自分は。。」このような考えで起こす変革は理想が無いので、敵がいなくなるとそれで終わる。次のステップに進めないのだ。

 人類はSNSというツールを手に入れることで恨み節をより多くの人に拡散させ、賛同者を集めることが可能となった。しかし、普段の生活も国レベルの問題も明確な理想を持ってこそ初めて向上できる。恨みを集めるよりも、理想を集めた変革を目指すべきなのである。理想の無い集団は烏合の衆以外の何者でもない。革命と気高さはフランス革命でも見られた通り両輪なのだ。

 今自分が生きている環境でも多くの恨みを聞く。そして、その意見に流されそうになる。それだけ恨みはパワーがあるのだ。自分の貯金を何十倍にも一気に膨れ上がらせてしまう。だからこそ得る情報には十分に注意しなければならない。どうせ貯めるなら、なかなか貯めにくいが必ず自分を高みへと誘ってくれる「理想」の貯金を積み立てていきたい。金銭的な投資でも何でも、資産を増やすというのは時間がかかるものなのかもしれない。

世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。