「地球に住めなくなる日」ブックレビュー

 これほど赤裸々に地球の行く末を語った本はあっただろうか?「地球を大切にしなければこうなるよ。」といった生やさしいものではない。あらゆるデーターと現状起きている事実を照らし合わせながら今後の我々の生活がどのように変わって行くのか、その真実を伝えている。著者の淡々として語り口調がその真実を恐怖として読者の記憶に残すのがまた不気味だ。温暖化問題の影響は恐らく、それなりの年齢層の人達は肌で感じていることだろう。夏になると光化学注意報が発令されるのが普通の世界だが、私が子供の頃は毎日のものではなかった。「今日は発令されているから、外での活動は気をつけるように。」と当時所属していた野球部のミーティングで顧問の先生から注意される程だ。恐らく、今は当然の感覚になってしまったのでそんな注意すら与えられていないのではないだろうか?


 梅雨の雨に関しても降らないことが問題となり、給水車が道中を走ったり、水を節約するために断水したことがあった。今は爆弾低気圧の例のように、雨が降りすぎることが問題となる。一方でアフリカなどの土地では干ばつが問題となる。アメリカでも最近は干ばつの傾向が見受けられる。気候変動が進むと天候は極端になる傾向があるとのことだ。


 言わずと知れた環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが環境崩壊の現状について2019年に国連で開かれた気候行動サミットで怒りを交えながら訴えたのは記憶に新しい。彼女の訴えは共感も反感も買うことになったが、彼女の怒りは最もと言えるぐらいのスピードで経済成長の代償を次世代の子供達は払わされているのである。しかしながら、言い訳にしていたその経済成長も本著ではまやかしであると説く。確かに、ここまで科学技術が発展しているのに、我々の生活が劇的に変化したという印象は無い。せいぜい、電車内で新聞や雑誌が読まれていた一昔前の光景がスマホに変わったぐらいだ。その一つの理由に気候変動が生産力の向上を帳消しにしているという説があるようだ。気温が高くなると労働生産性が下がるようで、ある研究によると平均気温13℃が経済生産には適温とのことだ。これは極論とも言えると筆者も述べているが、しかし、気温が上がればSDGsのようにその対策のための予算や技術を開発しなければならなくなるのでコストがかさむのは確かだ。


 先日、民間で初めて有人ロケットを宇宙に飛ばしたスペースX社のイーロン・マスク氏は人類の火星への移住を最終的に目指している。しかし、それが実現できるのはかなり先の話しで、さらにそのプロジェクトに参加できるのは元ZOZOTOWN社長の前澤氏ぐらいの富豪だけだろう(彼でもまだ月の周回契約だが)。つまり、多くの人にとってこれからもこの地球は母なる星であり続ける。その星をこれからも守るために個々が果たすべき役割はあまりに多い。


世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。