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真の才能とは?

 今は才能発見の時代である。多くの学校は「生徒個々の中に眠る才能を引き出す」ということを謳い文句に募集活動をしている。と言うより学校教育本来の目的は人の持つ才能を輝かせるところにあるものだ。しかし、この才能というのがまた厄介だ。なぜなら、当然ながら目に見えないからである。そして、なぜか自分自身で「才能あるかも?」と勝手に感じてしまうからである。

 才能は人をダメにするという言葉をどこかで聞いたことがあるがまさにその通りである。自分で感じた才能は大体当たっていない。そして、自分の周りにいるYESマンから言われる「才能ある!」も当てにはできない。それらを鵜呑みにして結局何も力を発揮していないという人はあまりに多い。

 そもそも才能の発見というのは過去を振り返ってみてわかることが多い。画家のゴッホがも生前は描いた絵が今ほど世界的に重宝されていたわけではなかった(1枚も絵が売れなかったという通説は嘘らしい)。スティーブ・ジョブズだって、自分に商売の才能があるとは恐らく事業を始めたときに思っていなかっただろう。

 思うに真の才能というのは今自分が出来ることをがむしゃらに取り組んだ結果、必然的に見えてくるものではないかと思う。

 自分自身を振り返ると自分がグローバルという分野に適性があるなど今の職に就くまでは思ってもみなかった。自分自身は一生カウンセラーとして生きるつもりだったし、だからこそ大学院にまで進み、臨床心理士の資格も取ったのだ。

 そもそも、グローバルの任に就いた経緯は、前任者が一人で中国から来る交流団受け入れの準備をしているところにたまたま通りかかり「手伝いましょうか?」と声をかけたことからだ。人生の分岐点というのはそれぐらい偶然性の高いものなのだ。「チャンスを掴むためにはアンテナを張れ!」とよく聞くが、それよりも「自分の心に素直に従う」方がチャンスを掴みやすいのかもしれない。

 それはさておき、自分としてはグローバルもカウンセリングも自分なりに一生懸命頑張ったつもりだ。どちらも自分には大切なものだし、そもそも仕事なのだから才能とか言っている場合ではない。でも、振り返ってみると自分の才能というのはグローバル分野にあったのだなと気づかされる。カウンセラーとして生きた期間の方が圧倒的に長いのに、グローバルの方では色々なところに講演者として呼ばれ、人脈も圧倒的に広がっている。今では先進国から開発途上国までどこでも研修プログラムを組めるようになった。

 カウンセラーの方はポプラ社から声をかけてもらい職場体験ガイドに紹介してもらったのが唯一の世間的成果かもしれない。

 自分に才能あるかないかなんて考えないで欲しい。そして、周りの声に耳を傾けても鵜呑みにすることもやめて欲しい。今自分が出来ること、与えられたこと。それを全力でやり抜く。その先にある評価があなたの才能なのだ。


世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。