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ツタンカーメンの調査とデジタル復元〜3Dスキャンで時代を超える

ツタンカーメン 今も世界を惹きつける少年王

古代エジプトの王たちが眠る「王家の谷」にあるツタンカーメン王墓。この若くして亡くなったとされる少年王の墓の所在は長い間謎に包まれてきました。しかし、1922年にイギリス人考古学者ハワード・カーターによってこの王墓と貴重かつ大規模な副葬品が発見され、ツタンカーメンの魅力が世界中に広がることになります。そして現代、その謎をさらに解き明かすための野心的なプロジェクトがワールドスキャンプロジェクトによって始まっています。

ワールドスキャンプロジェクトの挑戦

2022年、ワールドスキャンプロジェクトは、ツタンカーメンの王墓全体と、エジプト考古学博物館に収蔵されている黄金のマスクや、黄金の玉座など貴重な遺物12点を3Dスキャンしました。このプロジェクトの目的は、古代世界の遺産を後世に伝えるためのデジタルデータとして保存すると共に、考古学研究のための詳細なデータとして提供することです。

王家の谷での3Dスキャンの様子

世界中から観光客が訪れるツタンカーメン王墓。私たちは特別な許可を得て、無人の王墓内を詳細にスキャン。貴重な玄室の石棺や壁画、観光客には公開されていない小部屋など王墓内部全ての3Dデータ化に成功しました。

王家の谷。中央に見えるのがツタンカーメン応募入口
王墓入り口の看板
地中にある王墓だけでなく地上の地形もスキャンする
スキャンは王墓を貸し切って行われた
玄室をスキャンするCTOの市川
観光客からは見えない死角もスキャンする
鮮やかな色彩が残る壁画
王墓は世界中の観光客で賑わっている

エジプト考古学博物館での3Dスキャンの様子

こちらもツタンカーメンの黄金のマスクを目当て世界中から観光客が訪れる場所ですが、数日に渡り夜間博物館を貸し切りスキャンに挑みました。夜の博物館という神秘的な空間の中、世界的にも貴重な遺物を前に緊張の作業でしたが、無事に黄金のマスクを始め、黄金の玉座やカーの像、アヌビス神像など、12点の副葬品を3Dデータ化することに成功しました。

スキャンするCTOの市川
スキャンは人気のない夜間に行われた
スキャンされたカーの像
スキャンされた黄金の玉座

新技術での再現を体験する

そしてワールドスキャンプロジェクトはこのデータを活かし、ツタンカーメン王墓の復元や、ARやメタバース上で体験することを可能としました。これにより、私たちは古代エジプトの歴史や文化を新しい視点で体験することができます。

角川武蔵野ミュージアム「体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春」

2023年8月から11月まで開催されている、展示品や映像を通じて、ツタンカーメンは何を思い、どのように生きたかを想像しながら追体験できる新感覚の展示会です。この体感型展示会に、ワールドスキャンプロジェクトは、エジプトで取得した3Dスキャンデータおよび映像を提供しました。

会場では、リアルな壁画や石棺など、実際のスキャンデータを元に王墓内が復元されています。

メインスペースで流れるプロジェクションマッピング

また、メインスペースの大空間で流れているのは、CTOの市川泰雅が3Dデータを元にツタンカーメン王墓やそこに収められた副葬品を映像化したプロジェクションマッピング。他にも、壁や床に投影される映像は、市川がデジタルアーティストとしてディレクションと編集を担当。ツタンカーメンの生涯を全身で感じることができ、深い没入感に浸ることができると好評を得ています。

展示について、詳しくは以下のページをご覧ください。

「ツタンカーメン メタバース」

ツタンカーメン王墓をメタバース空間で体験できるサービス「MetaPlayer1.0 World」をリリース。実物大の遺跡の中を自由に探検したり、メタバース内のミュージアムで黄金のマスクをはじめとするツタンカーメンの副葬品を細かく観察したり、バーチャル空間でエジプトを満喫できます。

世紀の発見から100年、場所や時間といった物理的制約に縛られず「好きなときに、好きなだけ」自由なミュージアムへ出かけることができます。

詳しくは以下のページをご覧ください。

デジタル技術と歴史の融合

ワールドスキャンプロジェクトの取り組みは、単なる技術的な挑戦ではありません。それは、歴史的な遺産を現代の人々により身近に感じさせ、新しい形で体験させるためのものです。私たちの3Dモデル化技術により、遺物や遺跡が持つ細かいディテールや質感を、実際にその場所を訪れることなく体験することができるようになりました。これは、教育の場でも非常に有効であり、若い人たちが歴史をより深く理解する手助けとなることでしょう。

挑戦!世界中の遺跡をアーカイブする

ワールドスキャンプロジェクトは、エジプトのツタンカーメン王墓をはじめ、世界各地の遺跡や文化遺産を3Dスキャンしています。この取り組みにより、歴史的な場所や遺物がデジタル化され、多くの人々が容易にアクセスできるようになります。

私たちは、デジタル技術を駆使して、歴史的価値を持つ遺産を後世に伝えることの重要性を深く理解しています。独自の技術や手法を用いて、遺跡や遺物の3Dモデル化を進め、それらのデータをブロックチェーンにアーカイブして永久保存しています。

ワールドスキャンプロジェクトは、歴史と技術の結合を通じて、過去と未来を繋ぐ役割を果たしています。私たちの挑戦は、歴史を新しい形で継承し続けるものです。

この古代遺産のデジタル保存プロジェクトは、まだ始まったばかりです。私たちの目標は、「古代の秘密を現代技術で再現し、歴史を現代に甦らせ、未来へと繋げる」ことです。興味を持った方は、ワールドスキャンプロジェクトの活動をフォローし、応援してください。


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