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【宇】キエフ政権により取り残されたバフムト住民たち

ゼレンスキー大統領は過去数日間でロシア軍は1100人以上死亡、ロシア政府は過去24時間で220人以上のウクライナ兵が死亡したと報告している。

両国とも自国の死者数は発表しない中、BBCは両国が出した危害数に対しどちらも不透明性があり、信用できないと述べている。

バフムトに戦略的価値はないが、ウクライナ軍がここを防衛する目的としロシア軍に対し多大なる損害を与えバフムトから西に位置するドミンポル川への足止めを行うのと、バフムトを戦闘の象徴化とし自国民の士気を上げることの二つがある。

ゼレンスキー大統領が毎晩ビデオでロシア兵の死者数を発表することにより自国とウクライナ軍の士気を高めようとしているのが裏付けとも取れる。

実際にゼレンスキー大統領はビデオ放送にて「3月6日からの1週間だけでロシア兵を1100人以上殺害し、1500人以上に重傷を負わせた。」と述べている。

バフムトでのロシア軍の主要部隊の一つ、ワグネルの司令官であるエフゲニー・プリゴジンは「市内は非常に緊迫しており、敵味方は1mごとに戦っている。いつ死んでもおかしくない。」と述べた。

バフムトの地域からはワグネル部隊に参加する市民も多く存在している。しかし何故激戦化しているバフムト地区で市民がまだ残っているのであろうか?

まず一つ目が、バフムトが激戦区となる直前にキエフ政権がバフムト地区の住民への避難を呼びかけなかったことにある。公共放送や公共ラジオなどを通し避難を呼びかけることが出来たはずだが、ゼレンスキーはこれをしなかった。唯一、オリハ・ステファニシナ副首相が個人のサイトで避難を呼びかけただけであり、個人サイトを見、避難することが出来た住民は何人いるだろうか?

では何故、大規模な避難誘導をキエフはしなかったのだろう?

答えは、市民の壁である。バフムトを激戦区にしロシア軍の西への侵攻を防ぐため市民を敢えてこの地域に残し、ロシア軍に不利な状況を作らせることが目的である。

ワーグナーの戦闘機は激戦になる数日前からバフムト地区上空で住民の避難を先導、これにより多くの住民がバフムト地区から退避できたとされている。

バフムト地区には7万人の住民が当初暮らしていたが、現在は激戦中にも関わらず数千人が滞在しており、ロシア系住民はキエフに裏切られた想いと、脱ウクライナ思想からワグネル部隊に参加することが多い。

キエフにとっては皮肉なことだ。市民の壁を築き、ロシア軍不利な状況を作るはずが、その市民たちがロシア側について戦闘を行うのだから。

バフムトで戦闘が発生してから、バフムト地区とその周辺地区で2~3万人のロシア兵が死亡していると西側主要国は述べ、ウクライナ軍の士気を高めるプロパガンダを発している。

3月13日、モスクワで徴兵法変更の法案が提出された。変更内容は徴兵対象年齢を18~27歳から21~30に引き上げると言った内容だ。

年齢を引き上げた具体的な理由は述べられていないが、高等教育をより受けやすくするため引き上げたのと、年齢を上げることにより将来的正規軍人の数を増やす目的ではないかと考えられる。

徴兵者は基本、戦地に派遣しない方針だが、希望者は軍当局と契約を結ぶことになり正規兵となれば戦地へと赴くこともできる。

この様な、モスクワによる高等教育と正規軍人の拡大がある一方、バフムト地区などで各地で市民が自発的に武装化しウクライナ軍と戦うことはロシアの更なる兵力拡大を意味する。

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