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【尼】弱体化するボコ・ハラムと拡大するISWAP

先週、ニジェール軍による大規模な攻撃が行われ、ボコ・ハラムの構成員約30人が死亡。女性子供含むハラムの関係者960人を拘束したと、ニジェール当局は発表した。

ニジェール国営テレビは3月7日、ナイジェリアとの国境をなすカマドゥグー・ヨゲ川沿いでチャド湖に向かっている大規模な集団を探知したと公表。

彼らはボコハラムのメンバーであり、ISWAPからの攻撃を受けナイジェリア北東部からニジェール西部に位置するチャド湖に向かっていた模様。

ニジェールに入国されるのを防ぐため、ニジェール軍は上空から降伏するようビラを巻き、交渉しようとしたが交渉は決裂。

ロシア製Mi-35攻撃ヘリコプターとトルコ製バイラクタルTB2無人戦闘機で大規模な攻撃を開始、ハラムの戦闘員約30人が死亡、ハラムの関係者960人を拘束し、ナイジェリア当局に引き渡したとニジェール当局は述べている。

ハラムはまた、MNJFTに加盟するカメルーン軍とナイジェリア軍からも攻撃を受けており、ナイジェリア北東部のハラムに対する作戦で約3000人のハラム関係者が隣国カメルーンに退避した。

MNJTFは先月、3月は国境地域で残存しているハラムの戦闘員の一掃に専念すると述べている。

ハラムは2002年にスンニ派左派イスラム組織とし、反欧米欧州主義を掲げナイジェリア北東部で結成された。

当初は反西洋教育、反現代科学主義、反ダーウィン思想を掲げ、イスラム原理主義を守る組織であったが、組織の活動範囲がニジェール、チャド、カメルーン北部、マリに拡大していく中、過激な行動を取るようになった。

2010年には世界で最も危険なテロ組織の一つとなったが、2016年に内部分裂が起き、ISWAPが誕生した。

MNJTFは2021年にハラムの指導者であるアブカバル・シェカウを殺害、指導者を失い、台頭するISWAPとの衝突、MNJTFの包囲などにより勢力は収縮の一歩を辿った。

2023年3月14日に発行されたグローバル・テロリズム・インデックス(GTI)によると、2022年だけでハラムによる事件は6件、63人が死亡。ISWAPは戦闘での死亡率は増加しており、同組織による事件数は40件で168人が死亡と報告されている。

GTIの調査を見るだけで分離組織のISWAPの拡大と、ハラムの勢力収縮が目に見えて分かる。

ハラムの主な収入源は人身売買とされているが、昨年ハラムは学校を襲撃し400人近い子供を誘拐したものの、無条件で全員を無事に解放するという不可解な行動を取っている。


ISWAPとMNJTFによりハラムは弱体化はしてるものの、3月8日、ボルノ地区にあるグッゴ村を襲撃、少なくとも37人の漁師が殺害されている。
国連は、2009年にナイジェリアで勃発したハラムな反乱は近隣諸国にまで広がり、これまでに36000人が殺害され、300万人以上が難民又は国内退避民となっており、犠牲者の多くはナイジェリア人だと発表している。


MNJTFはハラムの終わりは近いと考え、ハラムの残党がISWAPに入ることでISWAPの脅威は高まり、ISWAPとの大規模な戦闘を想定し、軍事強化を訴えている。

ナイジェリアのムハンマド・ブハリ前大統領は「西側諸国がウクライナに供給した武器や弾薬が西アフリカに流れ始め、ISWAPを肥大化させている」と述べている。

西側諸国を嫌い、祖国文化、宗教を守るため結成されたハラムの分離派組織が西側諸国からの密輸武器に頼っているとは皮肉なことだ・・・・

ボコハラム
構成員最大時:10000人
設立日:2002年
西洋教育のみならず、現代科学、特にダーウィン思想を攻撃対象にしてる他、過激思想に準じないムスリムに対しても攻撃を行っている。
囚人解放を目的に刑務所への襲撃や、キリスト教徒を狙った連続爆破テロ、学校への襲撃など多岐に渡る攻撃を行っていた。

ISWAP(Islamtic State's West Africa Provine)
ニジェールのチャド盆地を拠点に独立国家を主張している未承認国家。
ISWAPのISはイスラム国(Islamtic Syria and Iraq State)からイニシャルを取っており、ISの分派組織とも言われている。(ハラムはISの分派組織ではない)

MNJTF(多国籍合同作戦部隊)
構成員:8000人(陸空軍)
設立日:2015年1月
加盟国:ナイジェリア、ニジェール、チャド、カメルーン、ベナン

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