サイバーパンク2077DLCの感想 リードルート(ネタバレ有

ナイトシティにハッピーエンドがないことは既に書いた。

まあそれでも、少しでもマシな終わりを迎えたい。死人は少ない方がいいし、できれば穏便に終わりたい。

だけどリードの側についてソミを確保しようとしたらブチギレられた。超怖い。ちゃうんすよソミさん、あんた今最強にメンがヘラってるから少し落ち着いて…落ち着いてくるわけもなく脳を焼かれかける。追いかけていくとむちゃくちゃ虐殺が繰り広げられていて、これまたブチギレているハンセン大佐が襲いかかってくる。うるせー!!邪魔だ!! 難易度もあるけどぶっちゃけそんなに強くない。アレックスも死んじゃったしおまけにソミさんそのまま逃げ切ればいいものをマックスタック(重武装サイバー警察)に捕まってしまう。どうしたいねん。

しょうがないのでハンズおじさんから紹介してもらったハッカーに、ソミの護送ルートを調べてもらって急襲。だがここでも脳を焼かれかける。もう勘弁して。どうやらソミはネットの深淵に潜りすぎたせいで最早死にかけ、Vくんにもリードにも裏切られてムカついとるしとにかく逃げたいし生きたいしヤバレカバレでトラックを奪取し、ドッグタウンの地下深くに潜むこれまた暗黒メガコーポの研究施設に逃げ込む。

リードと通信しつつ後を追うが、施設に潜んでいた暗黒メガAIがソミの思考を支配し、凶悪多足ロボが襲いかかってくる。どうにか施設のコアをシャットダウンしないとどうにもならないのだが…。

ここのゲーム体験と言うかプレイした感覚が、ストーリーは別としてかなりストレスフルなもので、ソミに同情できるような過去の回想とかあるんだけど全然入ってこない。ロボから逃げないと死ぬから。旧時代の化物兵器とは言えなんで一切抵抗できねーんだよ。イライラしつつも、ソミを助けるため必要な手順を踏んでいく。

いよいよソミを施設から切り離せるとなったところでロボに襲われ、まだ繋がっていたVくんとソミとの接続が奇妙な仮想空間を作り出す。そこでまたソミがまだFIAに「スカウト」される前の記憶をまざまざと見せつけられる。

ハッカーとしての才能はありながらも、どこか燻ぶった生活を送っていたソミ。ある仕事で恐らく痕跡を残してしまったのか、このままでは友人たちにも被害が及ぶと、リードの誘いを受けてFIAへ入る。

あれ? これってリードの方のルートじゃないの? Vくんの主観としてはこっちのルートではまだソミに決定的な部分で騙されているとは分かっていないので、多少同情的にもなってくるが、それにしても全然通信できねーしリードが何考えてんのか結局全然分からん。

徐々に浸食される仮想空間。自由を求めたソミ、その方法論はどうしようもなく間違っていたし、多大な犠牲を出し過ぎた。そして暗黒AIを撃退したものの、ソミ自身の身体も限界を迎えようとしていた。

このまま状況が進行すれば、ソミは自分が自分でなくなる、記憶をネットに奪われ彷徨い続けるだけの存在になってしまう、そうなる前に…とか言ってくる。いや、あんたがいないと俺死んじゃうんですよ。

このルートにおける最後の分岐は、ソミの自殺を手伝うか、生かしてリードに確保させるか、この二つになる。何も頭を撃たなくても、雑にケーブルを引っこ抜けば死ぬぐらいソミはもう限界である。暗黒AIが消えたのでリードとの通信は回復していて、こっちに向かっているという。

実際にシステム的な時間制限はないが、どうしたもんかなと思う。何かこう…FIAの仕事としてはソミを助けなきゃいけないしソミが生きることで自分も助かる道があるわけだが、それってどうなん? という気もしてくる。

自分が誰だかも分からないのに、ただひたすら記憶を奪われたという感覚に苛まれ、取り戻せないものを求めてネットを彷徨う存在。ソミは絶対にチューマではないが、そうなっても構わない、そうなっちまえと思うほどひたすらに憎い存在ではない。ないように感じる。

かと言ってリードの元に、引いてはFIA、大統領、新合衆国に元に帰したとして、恐らく死ななくて済むだろうけど、それもどうなん? という気がする。

やっぱりこっちにもハッピーエンドはないんだ、寂寞とした感情になる。

どうにも中途半端な―――ソミにも、リードにも、そして大統領にも、気のいいVくんはどうしてやったらいいのか分からない。どうにかしてやりたい、逆にムカつくからこうしてやろう、そんな強い感情を抱けないままここまで来てしまった。ずっと嘘ついてました、私は助かるかもしれないけどあなたはこの方法を使うことはできません、ごめんね☆と言われた方が逆にムカつきすぎて笑えるぐらいだ。やってくれるやんけこいつ、と。

使命と大義と部下に対する個人的感情で頭ぐちゃぐちゃのリードさんも、まあ多少は気持ちは分かるけどじゃあどうしてやったらええねん、正直そこまでの義理はねえぞと感じてしまう。

ソミを自由にしてやる、頭からケーブルを抜くと、そのままソミは倒れる。一足遅くリードが到着し、ソミの身体を二人で運び出し、貴重なデータとして大統領に返す。もちろん任務を遂行できなかったので、報酬やら助かる話やらはご破算である。

リードもなんか部下も立場も失ったみたいな文句言ってくるけど、お前が全てを解放してくれたのかもしれない、とだけは言ってくれる。これがまあ、リードのルートらしいところと言えばそうかもしれない。

自分も助かりたいので、ソミの望みを拒むと、ソミはひとまず死なず、FIAという鳥籠に再び閉じ込められることになる。そしてVくんは大統領からのお褒めの言葉と、新たな方法での手術という僅かな希望を得ることになるが、リードと二人、ほんとにこれでよかったんかな? という消えない疑問に惑い続ける。

殺してあげるほどの好意や憐憫も、ただ過去を見せられただけでは抱けなかった。そりゃ大変だろうけど、俺は俺で大変だし、一貫性のある行動としては、仕事を完遂する――何が正しいのか分からないままに。

Vくんは手術の日取りの連絡を待ちながらナイトシティで佇んでいる。これ手術行かないでジョニーとアラサカ行ったろかな、とか考えながら。

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