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芸術の秋に、たっぷり日本画

11月も半ばに入り、関西も日に日に寒くなってきました。
芸術の秋!ってことで、今回は日本画メインに、京都で行われた展覧会と今年10月にオープンしたばかりの美術館へ行ってきました。

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まずは京都国立近代美術館で行われている『円山応挙から近代京都画壇へ』展へ。展示は円山応挙だけでなく、江戸時代後期~昭和にかけて、応挙の影響を受けたと思われる画壇を中心とした展示となっています。

円山応挙といえば、龍、虎、鷹、孔雀、そしてコロコロとした可愛らしい子犬など、立体感のある動物たちが魅力です。(もちろん美人画や風景画も素晴らしいんですけど……)
応挙は自分で見たままを描くこと、つまりはスケッチを重視し、架空の動物であろうと、実在する生き物を組み合わせて、リアリティにこだわりました。その証拠に、応挙の描く虎は、現代の私たちから見れば少し違和感があります。虎にしては何だか可愛らしいような……?
実は日本には野生の虎が生息していないため、応挙は虎を描く際、実際に見た虎の皮と猫の仕草を組み合わせたと言われています。

ちなみに龍は九つの動物と似た部分を持つとされており、これも日本画で描かれる龍をよく見ると、たしかに個々の動物の部位に似ているような気がします。

また今回は日本画が西洋絵画の要素を取り入れながら、徐々に構図が立体的になっていく様子も実感することができます。
特に『風雪三顧図』というそれぞれ別の画家が描いた同タイトル、同モチーフ(三顧の礼の故事で有名なあれです)の絵があるのですが、時代が進んでいくにつれて、同じ場面なのに躍動感のある構図となっていくのはとても興味深いです。

話は逸れますが、京都国立近代美術館の向かいにある現在改装中の京都市美術館、京都市京セラ美術館って名前になるんですね……。知らなかった。
同じく京都にある京セラギャラリーと名前を間違えそうだ。

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続いては今年10月に嵐山へオープンした『福田美術館』へ。
この時期の嵐山へ行くなんて、酔狂にも程がある。と自分でも思っていましたが、まだ紅葉もすべて色づいていないためか、意外と人は少なかったです。(でも寒かった!)
美術館にいたっては、渡月橋のすぐ近くにありながらも少し道を入った場所にあるためか、ほとんど人はいませんでした。けっこう有名な日本画もあるのに、観光客の外人さんもいない……。
揚げたてコロッケを食べつつ、てくてく渡月橋方面に向かいながら、JR嵯峨嵐山駅から徒歩10分弱。観光地のど真ん中にありつつも、うっかり見落としてしまいそうなほどひっそりと、その美術館はありました。

『福田美術館』のオーナーは消費者金融会社で有名な、アイフルの社長さんである福田吉孝氏です。

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展示スペースは近代中心の第一画廊、江戸時代中心の第二画廊、そして西洋画の展示がある全景画廊と続きます。建物もそんなに広くなく、私立の美術館のなかでもだいぶこぢんまりとしていますが、展示された作品はものすごい!!
竹内栖鳳、横山大観、与謝蕪村、尾形光琳、葛飾北斎、竹下夢二、シャガール、モネ……等々、誰もが聞いたことあるような、国宝級の名前がずらり。
そのコレクションは「たとえ美術に詳しくない方が見ても、感動を与えられるような」作品がコンセプトだけあって、「本当に私立なのか??」と思うくらい素晴らしい内容となっています。

そして日本の美術館では珍しいなぁと思ったのが、一部作品を除き、ほとんどの作品が撮影可だったこと。
最近は一部を撮影可にしている美術館も多くなってきていますが、どうしても大型企画展となると他所からの借り物が多くなるため、撮影禁止がほとんど。そう考えると、撮った写真をSNSでアップできる貴重な美術館です。

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こちら2点はどちらも竹内栖鳳のもの。先ほど書いた円山応挙の猫のような虎と比べると、リアリティが増しています。

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伊藤若冲の『群鶏図押絵貼屏風』。鶏の雄雌が交互に描かれています。

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展示を見終わったら、綺麗なお庭と渡月橋を眺めながらティータイム。外の喧噪から切り離され、ゆっくりとした時間が流れて最高でした。

開館記念のコレクションはⅠ期、Ⅱ期と展示が変わるようなので、また後半も行きたいと思います!


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