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それは生命の未来と可能性のカタチ

バイオアートって何?

芸術カテゴリのひとつとして、『バイオアート』という分野があります。
科学芸術、特に(広い意味合いとしての)生物学と芸術を組み合わせたものであり、遺伝子工学が発展していった20世紀後半から現在まで広がりをみせつつある今注目の芸術です。

ここ数年、日本国内でもバイオアート関連の展示が増えてきていたのですが、なかなかタイミングが合わず、行きそびれてました。そんななか、ちょうど東京へ行く機会があったので、森美術館で開催中の『未来と芸術』展に行ってきました。

念願のバイオアート関連!しかもあの有名な、ゴッホの耳の展示や長谷川愛の作品もあるじゃん??と、たいていの人には理解してもらえない興奮で鼻息荒く向かいましたが、すごくよかった!メッチャよかった!!(語彙力)

私たちの未来は楽園か、悪夢か?

今回の展示内容は『未来と芸術』とあるように、バイオアート関連だけではなく、未来における人のあり方をテーマに、「都市の新たな可能性」「ネオ・メタボリズム建築へ」「ライフスタイルとデザインの革新」「身体の拡張と論理」「変容する社会と人間」という、5つのセッションから成り立っています。

環境変化に伴う都市開発、衣食住の変化。SF世界がすぐそこまで来ているというワクワク感とゾッとするような本能的な違和感。
愛玩ロボット、VRのような最新の技術に直接触れることもできるので、普段現代アートに興味がなくても楽しめます。

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海上都市は、各エリアブロックを組み合わせて自在に都市が変化していけるというもの。

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こちらは大気汚染や地球温暖化により、地表に住むことができなくなったと想定した空中都市。

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蜘蛛の巣が組み合わさったような都市。ナウシカに出てきそう……。

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面白いことに、今回の展示にある未来の都市開発には必ずといっていいほど、緑豊かなものが多いんですよね。

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椅子に座った人をAIが似顔絵を描くパフォーマンス。日や時間帯によっては、実際に体験できるようです。

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フィンセント・ファン・ゴッホの左耳を生きた状態で再現した作品。細胞の元となったのは、ゴッホの玄孫。展示作品の手前にはマイクがあり、実際に話しかけたりすることができる。

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ゴッホの耳をガラスで挟んだ向かいのエリアには、耳を切り落としたゴッホの自画像……ではなく、アーティストがゴッホの自画像に扮した写真作品。よくよく見れば、瞳が生きた人間のもので生々しい。


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3Dプリンタで作成されたヒトの心臓。人間はどこまで代価可能か?という問いを突きつけた作品。

個人的に印象深かったのが、『末期医療ロボット』。白くて無機質なマッサージ機が、死期が迫った患者の腕を撫でながら「ご家族が来られず残念ですが、快適な死をお迎えください」と慰める映像は、傍から見るととてもシュールであり、ディストピア小説『すばらしい新世界』で出てきた、リンダの臨終シーンを思い出しました。
今は違和感を感じても、少し先の未来、小説のようにこれが当たり前と受け取る日が来るのかもしれません。


とまあ、いろいろ書きましたが、アートは感じ方人それぞれだと思うので、バイオアートに興味を持たれたら、ぜひぜひ足を運んでほしいです。

写真もフラッシュを焚かなければ撮れるし、ゆっくり見て回ると二時間近くかかるので、余裕を持って行かれることをオススメします。








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