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イギリスの郷土菓子


トライフル (Trifle)

洋酒を染み込ませたスポンジケーキやジャム、カスタードクリームなどを層状に重ねて、生クリームとフルーツで飾りつけをしたデザート。かつては余ったスポンジケーキなどあり合わせの材料で作られていたことから「つまらないもの」という意味合いがあります。

レシピ本に初めて登場したのは、1585年 Thomas Dawson 著 “The good husewife’s Jewell”。当時は砂糖や生姜、ローズウォーターなどから作られたクリーム状のものでしたが、1861年 Isabella Beeton著“Book of Household Management”には今のスタイルに近いトライフルが描かれています。


ヴィクトリアスポンジ (Victoria Sponge)

スポンジ生地にジャムや生クリーム、果物を挟んだイギリスの伝統的なケーキ。19世紀、イギリス王室のシェフが考案したデザートで、その名称はかつての大英帝国女王・ヴィクトリア女王に因んで名付けられました

1861年、腸チフスによって最愛の夫・アルバート公を失い、その後10年以上に渡って女王は深い悲しみに暮れていました。長い隠居生活の拠点の一つとなったのが、ワイト島にある王室の離宮「オズボーンハウス」。

そこでのティータイムで、傷心の女王を慰めたのがこのヴィクトリアスポンジケーキであるといわれています。当初はジャムのみを挟んだシンプルなケーキでしたが、近年はレモンカードや生クリーム、イチゴなどを挟んだものも親しまれています。


スコーン (Scones)

小麦粉やベーキングパウダー、牛乳、バター、砂糖などを混ぜ合わせた生地をオーブンで焼き上げた小型のパン。イギリスには、ジャムとクロテッドクリームを添えたスコーンを食べながら紅茶を飲む「クリームティー」と呼ばれる習慣があります。

スコットランドのフラットブレッド「バノック」が原型とされており、その名称は、歴代スコットランド王の戴冠式に使用された椅子の土台の石 “The Stone of Scone ” に由来するといわれています。(諸説あり)

現在のようなスタイルのスコーンになったのは、1800年代後半のヴィクトリア朝時代。ベーキングパウダーの発明や一般家庭へのオーブンの普及が進み、イギリスのティータイムには欠かせない存在として定着していきました。


イートン・メス (Eton Mess)

イチゴやメレンゲ、泡立てた生クリームを混ぜ合わせたデザート。その起源は1440年創設のパブリックスクール、「イートンカレッジ」が発祥であるとされており、19世紀頃からその名が知られるようになりました。

イートン校と同様、名門パブリックスクールである「ハロウスクール」とのクリケット対抗試合で、毎年供されたデザートとしても知られています。

1930年代にはイートン校の売店で販売され、当時はアイスクリームまたは生クリームにイチゴやバナナを加えたものが作られていたそう。


ミンスパイ (Mince Pie)

クリスマスプディングと並んでイギリスのクリスマスシーズン定番のお菓子。ドライフルーツや砂糖、香辛料などを洋酒に漬けこんで熟成させたミンスミートをパイ生地で焼き上げて作られます。

「ミンスパイ(=ひき肉のパイ)」とその名称が示す通り、16世紀頃のイギリスではひき肉や香辛料、ドライフルーツなどから作られていました。18世紀に入ると植民地から安価に砂糖が手に入るようになり、お菓子として食されるようになったといわれています。


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