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フィンランド在住の児童民生員が教える、思春期の子どもとの穏やかな関係の作り方②戦う道具


フィンランドのソーシャルワーカーの世界で一番重要な視点として、
口を酸っぱくして言われ続けることは何か知っていますか?

"目の前にいる人が何を必要としているかを考える"

みなさんは、何か悩みがあった時にどんな人に相談したいですか?
ソーシャルワーカーはカメレオンだと思っています。色んなタイプの人間に、目の前の相手に合わせて変わっていくのです。時には触れられたくない痛いところを突き、盛り上げるために大げさに笑ったりピエロにもなり、ただただ共感しながら聞き役に徹することもあります。

この話を聞くと"そうだよね、私もやっているよ"と思うかもしれません。
フィンランドと日本の違いは働き側にある自分で決めることの出来る自由度です。以前フィンランド人で高校で国語の先生をしているヘリさんが、子供に親近感を持って話しやすい先生になりたくて髪の毛をピンクに染めたという話がありました。日本で社会にはピンクの髪の毛でいることを肯定的に考えてくれる大人がいるということを、先生が髪の色を染めることで伝えることはまだまだ一般的ではないように感じます。

専門家の工具箱

私は日本のソーシャルワーカーは戦う道具が少なすぎると感じています。戦う道具とは働くときに人の話をきいて、問題を解決することを専門にする私たちカメレオンが変化するために使う道具を収納するドラえもんのポケットのようなものです。
ソーシャルワーカーとして道具をいくつ持っているのか、それをどれぐらい使いこなせるのかが重要だと考えられており、大学の授業内でも工具の紹介がとてもたくさんあります。フィンランド語で"työkalupakki"工具箱と言われ、学生の間または就職してからもその工具を磨いたり集めたりすることを求められています。

フィンランドは目の前にいる人が必要であれば、法が許す限りほとんどなんでもしていい自由があります。しかし、あくまでも道具なので使い手のレベルが伴っていないと道具は光りません。ゲームと同じです。

オスロ大学のエルッキ・ヘイノネンの記事*1でも書かれていますが、
使い手自身の人間レベルは最終的な結果に大きな影響を及ぼします。
小手先の道具に頼ってばかりでは期待する結果が出てこないこともあるでしょう。

もし今困っていることがあるのなら、
自分の工具箱を見直してみて下さい。錆びついていたり、足りていなかったり、合っていなかったりしませんか?



*1  Heinonen,E. 2015. Psykoterapeuttien yksilölliset ominaisuudet, yhteistyösuhde ja psykoterapian tuloksellisuus. Oslon yliopisto. Saatavissa: https://www.researchgate.net/publication/288335481_Psykoterapeuttien_yksilolliset_ominaisuudet_yhteistyosuhde_ja_psykoterapian_tuloksellisuus


▼次回のワークショップ案内▼

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7月31日・8月2日に高校をテーマにした2日連続ワークショップの開催します。悩みが多い思春期のフィンランドの子どもたちがどのような環境で生きているのか、大人はどのように接しているのかを高校教師の視点から紐解いていきます。

詳細・お申し込みはこちらから
http://ptix.at/91mbhj

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