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"自分"を自分でデザインする時代

現在オンラインでヘルシンキ大学のKulttuuri-,katsomus- ja kielitietoinen opetusという講義を受けています。バックグラウンドが多様な若者たちのアイデンティティーを主に学校でどのようにサポートできるかを考える授業です。日本生まれ日本育ちの私ですが、フィンランドに来て自分が何人かわからなくなりました。日本人であることが重要ではなくなったと言ったほうが正確かもしれません。日本国籍であることは私の一部ですが私には他にも自分を持っています。例えば、犬を飼っている私とか、苺が好きな私とか、頻繁に森へ散歩に行く自分だとか。これも私の一部です。

私が自分で言いたい"自分を表すもの"は、海外在住日本人でもなければ、日本での最終学歴が高校でも、31歳女性ではなく犬と一緒に森へ行くウクレレを練習するソーシャルワーカーです。私たちは見た目を変えるように、自分の好きなところをもっと前面に出して好きじゃないところは出さなくてもいいじゃないかと思うのです。そんな話を今回のブログで書いていきます。





どんな自分を相手から見て欲しいですか?

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変わっていく自分自身を表現するもの

授業で出てきた資料の1つに2014年に67人のフィンランドに住む中高生にアイデンティティーに関する聞き取り調査報告がありました。調査に参加した若者の内の2/3が両親ともにフィンランド人で残りはどちらかがフィンランド人か両方がフィンランド以外の文化出身です。グローバル化が進み、今までよりもさらに自由に行動出来るようになり、インターネットの普及で国境を越えた交流が簡単に出来るようになりました。そんな時代を生きる若者は戦時中に敵だった国の人たちに対して敵意やわだかまりは持っておらず、国籍や出身国を重視せず、ステレオタイプの考えに対して思い込みや偏見は持たずにもっと平等に考えないといけないよねと思っていると答えています。そして世代によって国籍に対する考え方が違うことを感じた経験があると答えている若者もいました。2つの文化から影響を受けている若者は自分自身をほとんどフィンランド人だけど、一部がもう一つの国の文化で成り立っていると感じる子もいれば、オーストラリア育ちの子はオーストラリアの文化が自分に合っているとも感じると話しています。文化のいいところだけを集めた感じと答えている子もいます。スペインではスペイン人と感じるけれど、それ以外の国ではフィンランド人と感じるという子もいます。中には子どもがフィンランド人化(?)していくことを受け入れず、その国の文化をもっと強めたいと考える家庭もあるようです。*1

若者の中でまだまだ〇〇人という今までの通りの考え方も強くありますが、多様化で自分が何人であるかよりも地球人ぐらいの大きさで捉えたほうがしっくりくる割合が増えてきていてその考えが受け入れられているようにも読み取れました。国籍は自分を表すものではないとは多くが感じているようです。


多彩な顔を持つ人たち

社会福祉の世界で出会った人達は趣味も多く、とても多才で色々な顔を持っています。私のダンスの先生は平日は小学校の先生で週末はフラメンコを教えていました。他にも幼稚園で働くエンジニア、作家のソーシャルワーカーや元警備員の保育士などに出会いました。全く違う世界の人と交流があるからこそ多角的な考え方が自然に出来て、業種を超えた画期的なアイデアが生まれてくるようです。どちらがメインの仕事かという考え方ではなく、両方が共鳴し合い両方が同時にさらに良くなると考えています。職業や役職も自分を表すものの1つです。しかし、それも色々と入り交ざった人が多いのです。

あなたの周りには色んな職業の人がいますか?

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仕事としていなくても趣味でも思いっきり時間を費やしてスキルを磨いている人もいます。あなたはどんなスキルを持っていますか?どんなことが出来ますか?


私たちとあなたたち

自由に自分をデザインしていいといっても、世間から受け入れられず仕方なく自分らしさを隠している人もいます。フィンランドでは親の給与に関係なく、近くの保育園に子供を預けるのが一般的です。保護者が大企業でプロジェクトリーダーという子供もいれば、若いシングルマザーの子どもも一緒に学び遊びます。大人になってからも、あまり社会的ステータスに関係なく子どもの頃からの友情が続いているようです。画像3














このように聞くと、そんな環境で育つのでフィンランドでは差別がないように聞こえますがそうではありません。タンペレ大学の教授ユホ・サーリがこの分野では一番有名ですが、彼の研究によると2000年始まりからフィンランド国内で少しづつ貧富の差が広がって来ていると報告しています。*2


自分の属していないグループに対して、無理解・無知のためにネガティブな印象を持ってしまいます。フィンランドで貧富の差が広がっていっていますが、特に若者を中心にどんどん多様性を受け入れていっています。1つの顔に縛られる必要はないのです、調査で出た発言のように文化のいいとこどりをしたっていいのです。もっと自由になりたい自分を選択してもいいのではないでしょうか?

Chisato


・・・・・
参考文献

*1
https://mooc.helsinki.fi/pluginfile.php/95950/mod_label/intro/Lestinen_Autio-Hiltunen_Kiviniemi_2017.pdf

*2 https://yle.fi/aihe/artikkeli/2019/10/02/koyhyyden-anatomia-talta-nayttaa-suomalainen-koyhyys-tilastoissa

【次回のワークショップのお知らせ】

みなさんの周りの優しいは、あなたが自由に考えることや成長することに寛容ですか?私たちと一緒に今抱えている気持ちを吐き出してみませんか?
心理カウンセリングは出来ませんが、優しい場所を用意してお待ちしています。シェアしなくても、自分が今どんな気持ちなのか考えるだけでいいですよ。フィンランドの森の中で火を囲みながらみんなで話をしているような穏やかな雰囲気の中でゆったり語り合いましょう。

【5/23(土) 20:00-21:30 お話会】
omena代表の2人がフィンランドの幼稚園で出会った同僚トラブルや失敗談など心が折れた体験談をお話します笑

そのあと皆さんも今抱えいる悩みや何かわからないけど感じているストレスの原因をフィンランドのメンタルヘルスワークシートを使って吐き出してみましょう

【5/24(日) 20:00-21:30 座学】
フィンランドでは子どもや保護者に何かメンタルトラブルがあった場合、どのようなケアがされるのか
公的な援助、そして保育園、学校としての援助など学んでいきます

【金額】
2日間 1500円

【人数】
10名程度

*5/22(金)に無料でプレイベントを行います
このワークショップの簡単な内容や、体験談を少しお話します
このイベントに参加してみて申込をしていただいてもいいですが、定員に達している場合は別の日に設定しますのでそこでお申し込みいただくかもしれません

お申し込みはこちらから
http://ptix.at/wzWL8n


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