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日本の給食とフィンランドの給食

こんにちはyakkoです。私は日本で幼児教育に約10年間携わった後、フィンランドの幼稚園でインターンをしていました
そして先日、とうとう1年と少しのフィンランド生活を終え、日本に帰国しました
毎日日本の食事の美味しさに感動しています

前回フィンランドの保育と日本の保育の違いについてお話しました
今回は日本の保育の良いところをお話しようと思い、一番に思いついたのは

日本の給食、食育はすごい!

ということです。国内にいるとこれが当たり前でしたがフィンランドに行ってみて気づいた大きな違いです
主菜、副菜、汁物、ご飯、デザートが当たり前にあり、和食だけでなく中華、洋食など様々な国の料理が幼稚園、学校で食べられること
全て栄養計算がされていること
そして食事の時の保育者の関わり方も海外とは大きく違いました

そこで今回はフィンランドの給食の時間がどのような雰囲気でどんなものを子どもたちが食べているのか、保育者の関わり方についてフィンランド比べてみましょう

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朝ごはんを食べる

日本では0〜2歳児クラスの子どもたちは朝おやつを食べます
おせんべいやクッキー、煮干し、おにぎりなど少し口にする程度です
フィンランドでは朝ごはんが園で用意されています。ポリッジ(オートミールのような麦のおかゆ)に牛乳やベリーソース、シナモンをかけたもの、パンにハムやチーズを乗せたもの、フルーツなどしっかりと食べることができます。しかも年長クラスの子でも何歳の子でも食べられます。
大体の園では申し込み制で月単位のようです。提供時間が決まっているのでその時間までに登園しなければ食べられません。大体4分の3くらいの子どもたちが朝食を利用しています。

朝の限られた時間に寝起きの子どもが朝ごはんを食べるのはなかなか難しいですよね。しかし食べないと保育中子どもはイライラしたり、ぼーっとしたり…
なので私が日本の園で働いていた時、保護者の方が忙しいとわかっていても「朝ごはん食べてきてくださいね」と言ってしまったし、保護者の方も言われなくてもそれがベストだとわかっている。でも寝起きは機嫌が悪いし、ぼーっとしてるし、自分の支度や子どもの支度でずっとついて朝ごはんを食べさせることはできない…子どもは朝から急かされたり食べていても途中で時間になって食べられなかったり…
もし日本でも朝ごはんを園で食べることができれば保護者の方も子どもも保育者もみんなに利点があるし導入できないかと思っています
一日の摂取カロリーの計算や朝から調理の人員を確保しなければならないなど課題があると思うのでなかなか難しいかもしれませんが…^^;

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どこで調理しているの?自園調理?セントラルキッチン??

私が働いていた3ヶ所の園はそれぞれ違いました
・ヘルシンキの小規模私立幼稚園
ここは30名ほどの園児数でマンションのワンフロアが保育室になっているためキッチンはあるものの調理するほどのスペースはなく、外注の給食でした。
毎日サラダの材料、パン、牛乳などは近くのスーパーで買ってキッチンでサラダを作り、おやつはパンやクラッカーの上にハム、チーズ、スライスしたキュウリをのせるサンドウィッチやコーンフレークなど簡単に用意できるものでした

・郊外の小規模私立幼稚園
ヘルシンキ郊外にあるため園児数は先ほどと同じくらいですが園舎が広く大きなキッチンとキッチン兼掃除の人がいたので週の半分は外注で半分はスープ、パンを自園調理していました。おやつは外注の日はパンケーキやベリーソースなど時間がかかるものを作り、それ以外の日はヨーグルトとシリアル、パンにハム、チーズ、キュウリを乗せたものなどを用意していました
あとこの園はお皿が全てiittala(フィンランドメーカー)でした!(他の園はプラスチックだったりIKEAのお皿でした)

・郊外の大型園
120名定員の大型園のため大きな調理室がありました。食堂もあり、食べるときは毎回ここの部屋に移動していました。食事も他の園より1品ほど多い日が多かったです。最初の園のときは月曜日は魚スープ、火曜日は野菜スープ、水曜日はパスタなどルーティーンが決まっていましたがここは毎回違うメニューが出ていました

どの園にも共通して言えるのは
・飲み物は水、普通の牛乳、低脂肪牛乳、アレルギーに合わせたミルクの中から選ぶことができる
・大人が子どもに「多め?少なめ?」とどれだけ食べるか確認して盛り付けている
・ベジタリアン(写真中央)、アレルギー(写真上部)のメニューがあることです


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食事の雰囲気

日本では食事中に会話をしたり楽しい雰囲気の中で食事をすることを大切にしている園が多いかと思います

フィンランドの園も基本的にそうではありますが、ある先生は食事中の会話は一切禁止で落ち着いて食べられるよう(だと思いますが)電気を消し、テーブルの上にロウソクを置いて暗い中で食べる方針の人もいました。
薄暗い中で無言で食べる子どもたち…ちょっと、というかかなりカルチャーショックを受けました。

それ以外は普通に明るい中で程よく会話しながら食べていました。ただ以前も書いたように食事中も穏やかです

なぜか?

おそらく日本の給食は食育の時間でもあるので、保育者はこの時間も子どもたちにとって学びのある時間であるようにします
「この中には何が入ってるかな?」と食材に関心が持てるように話してみたり、旬のもの行事の食べ物について話したり、大きい子たちのクラスになると栄養素の話をしたりします。また園で育てている野菜などと関連づけてみたり…保育者は一緒にごはんを食べながら頭はフル回転。年齢によってスプーンや箸の持ち方を教えたり、食事中のマナーを伝えたり、早食いの子にはよく噛んで食べるよう伝え、会話に夢中になっている子に食べるよう促し…そしてこぼした!おかわり!これ嫌い!一口食べてみよう…とにかくバタバタしていました。
でも、そんな中でも子どもたちと会話をしたり、食事の時間を楽しい時間であってほしいという雰囲気づくりも大切にしていました

食後の片付けも一苦労。フィンランドはワンプレートでパン食が多いので片付けも楽ですが、日本はごはん茶碗、汁椀、主菜の皿、副菜の皿、コップと食器だけでも片付けるのが大変な上に和食はごはんや切り干し大根、ひじきなどこぼしやすい物が多いので食べこぼしの掃除だけでも大変でした
そして食後の歯ブラシ着替えもあります
フィンランドでは歯ブラシは数年前から不衛生であるという理由から廃止になり
その代わりに食後にキシリトールのタブレットを食べています
汚れていなければ着替えずそのままお昼寝をするので食後のバタバタ感がありません

日本では食べない子がいると、「これが嫌いなのかな」「体調悪いのかな」「今朝ごはん食べているかな」「便は出ているかな」などとにかく気にかけます。そしてお迎え時に保護者の方に伝えたり、連絡帳に書いたり・・・
フィンランドでは先生にもよりますが、全然食べていなくても少し会話をして様子を聞くものの日本ほど深く追求はしません。


この食事の風景だけでも日本とフィンランドが大きく違います。
フィンランドだけでなく他の国のランチ風景を見ても「お腹を満たす時間」という雰囲気ですが、日本の給食の時間は子どもの心と体を育むための大切な時間として考えていることがわかりました。

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マッシュポテトとミートボールのザワークリーム添え サラダ
この日は私の中で大当たりのランチでした


最後に

食べることは生きる「食事」は、生命の維持、発育、発達に欠かせないものです。また、乳幼児期の子どもに とって、「食事」を通して、食事をみんなで楽しむ、調理のプロセスを日々感じる、様々な食 材にふれる等の経験を積み重ねることは、子どもの五感を豊かにし、心身を成長させます

厚生労働省の保育所における食育に関する基本方針の一番はじめに書いてある言葉です

フィンランドの子どもたちと日本の子どもたちを比べてみても、給食の時間に対するモチベーションが違いました
給食の時間だよ!と言った後の「やったー!」という喜び
好きなメニューだった時の歓喜
食べた時の笑顔、幸福感

食べる力はは生きる力

教員いじめや大学入試試験など教育に関わるネガティブなニュース、海外の保育を知ると日本の保育や教育に自信や希望がなくなってしまうこともあります。
でもこの食育をはじめ、日本の保育教育は素晴らしい点も沢山あります。
海外に出てみて気づいた日本の保育教育の大きく胸を張って誇れることをこれからも発信していきたいと思います


お知らせ
2019年11月2〜4日開催の森のようちえん全国フォーラムのフリー分科会でフィンランドの穏やかな保育についてお話しさせていただきます
(こちらはすでに参加締め切りされています)

2019年11月16日土曜日 名古屋 千種グリルにて
フィンランドってどんなところ?

世界一幸せな国、子どもの学力世界一、世界一お母さんに優しい国
今フィンランドについてたくさんの素敵な情報があふれています本当にフィンランド人は幸せなの?学力世界一の国の秘密は??皆さんの持っているフィンランドのイメージや気になっていることをお茶を飲みながらのんびり一緒にお話しましょうフィンランドの幼稚園の一年間の様子もお伝えします

↓↓ こちらより詳しい内容、参加申し込み頂けます ↓↓
https://forms.gle/efft5XAK375eXMaD8


文字だけでは伝えきれないフィンランドの雰囲気や保育の様子をワークショップではお伝えしていく予定です
またインターネット上には載せられない園内の様子の写真や動画、またフィンランドの保育現場にあるおもちゃなども用意します

今後も東京会場や色々計画していますのでよろしくお願いします

最後まで読んでいただきありがとうございます! もしこの記事が良いと思いましたら スキをいただけると「また更新頑張ろう」というパワーになります^^