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自由と平等のジレンマ

「間違いを犯した人間の罪は許されるのか?」
 私は前回のコラムで薬物中毒者を犯罪者として扱うのではなく、患者として積極的に治療し社会に復帰させるハームリダクト について言及した。

 繰り返しになるが日本では「薬物やめますか?人間やめますか?」のスローガンが声高に叫ばれるあまり、1度でも薬物に手を染めた人間の人格は否定され、社会復帰が非常に難しい「再起困難な社会」になっている。

 間違いを犯した人間を社会が排除し続ければどうなるだろうか?社会に受けられない人間は生きるために再び過ちを犯してしまう現状は少なくない。実際、日本での再犯率は約50%である。だが、再び罪を犯してしまうのは本当に当事者の問題だけでなのだろうか?

 世界に目を向けてみるとISに参加するためシリアに向かった人々の帰国が大きな問題になっている。

 あるアメリカのシンクタンクの調査では2017年10月の時点でISに参加した外国人戦闘員は110カ国以上、4万人を超えると分析している。つまり、ISからの帰国者問題は最低でも数万人となる世界規模の大きな問題なのだ。
 
 そんななかイギリス政府はISに参加した19歳の女性の市民権を剥奪した。イギリスでは国籍法に基づき、一定の条件に合えば個人の市民権を剥奪することは可能となっているのだ。しかし、帰国を望む当事者は市民権の剥奪は不当だとし裁判が続けられている。そして、この判決の行方は世界中が注目している。この裁判の判決が今後の世界情勢を左右すると言っても過言ではないだろう。

 判決が下る前にぜひ考えて欲しい
 
 なぜISに参加したのか?

 なぜ帰国を望んでいるのか?


 ISからの帰国した人を、あなたは隣人として迎えることができますか?

Text By Nasser
 


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