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短編小説「囚われの身(せかい)」

今、世界には便利な物がある。

“スマホ”

それは時代を動かす発明だった。
発売からすぐ人気を集め、すぐに人々に行き渡った。
そしてそれから数十年が経った時、人は愚かな人間になっていた。
SNSで人を叩く。SNSで人をいじめる。
そういう悪い人もいる。
だが良い人もいる。
そしてMikMokというアプリが出てきてからは本望に抗えない人達も現れた。
「流行りを知るだけだから大丈夫。」
そんな訳がない。ただ単にスマホ中毒かもしれない。
しかも投稿を始めてしまったら終わりだ。
「再生数伸びてる……もっと出さなきゃ…」
恐ろしい。人の“皆んなに自分を知って欲しい”という欲は恐いものだ。knstagramもそう。ストーリーと投稿で別れているがSNSだからそれも同じ。
そして一番スマホで怖いのはゲーム。
世界にも“ゲーム中毒”という言葉が出てきた。
最初はよかった。まだストーリーを終えたらそこで終わりのゲームが多かったから。
でもチムチムみたいな永遠にプレイ出来るゲームやRPGみたいなずっと探索できるゲームが出てきたから人はよりスマホに“囚われて”しまった。
「ご飯よ!もうやめなさい!」
よく聞く言葉ではないだろうか?
現代はスマホに囚われ、スマホに喰われる時代。
おっと、プロローグが長かったな。本編に入ろう。

「こら!いつまでスマホ見てんの!やめなさい!」
毎日のようにスマホの事で怒られる。私は引きこもり。高校にも行かず、いつも部屋で寝て食べてゲームして寝る。(風呂も入ってるよ)こんな毎日がもう2年続いていた。
(あぁいつまでこれが続くんだろう。)
自分でも分かっている。この生活をやめなきゃと。でもやめる気にはなれない。
「あんたいつまでそんなことしてんの?笑将来のこと考えてんの?笑いい加減にしてよ笑」
一度見た親の冷たい目と言葉。それが頭から離れない。
毎日母親と父親は喧嘩している。
こんな時頼りになるのがネットフレンド。いつでも悩みを聞いてくれる。良い人も居れば、悪いやつもいる。

私「今日も親が喧嘩しているよー😭
誰か慰めてー!」
???「大丈夫?」
田中「私さんなら耐えれるよ。」
乙「は?そんなんで助け求めるなよ笑笑」
やかん「いつでも頼っていいよ!」

あぁネットは色んな人がいる。そんな時一通のコメントが目に付いた。

乙「ていうか何でこもってる訳?辛いことでもあったのか?そんなの気にせず前向いて歩けよ笑誰でもそんな事あるんだからさ笑」

あ、誹謗中傷してた人だ。いい事言うやん。
でも立ち直れない。たとえこの部屋から出れても親からはガミガミ言われるだけ。学校に行っても友達がいないから面白くない。

私「どうしても立ち直れないことがあったらどうするの?乙さん。」

私はこのアンチの乙さんを頼ってみた。すると

乙「そんな時があったら忘れてみたらどうだ?一旦忘れて思いっきり何処かに行って楽しむ。それだけでも良いと思うぞ。」

アンチとは思えない言葉。誹謗中傷なんてしなくていいのに。そう思いながらも私はベッドに横たわって寝た。
朝。一番嫌な時間。
「今日も学校行かなくていいの?」
毎朝親がわざわざ私の部屋の前に来て言う。
「……いい。」
そう私が言うと親はその場から立ち去る。
そしてもう1回、もう1回私は思う。
(あぁいつまでこれが続くんだろう。)
今日も一日部屋にこもる。誹謗中傷はいつも見ぬふり。
私には学校に友達がほとんどいなかった。唯一友達で居てくれたのは幼稚園からずっと一緒だった寿羽充(ことはみつる)。いつも遊ぶ時は一緒。悩みを打ち明ける時も一緒だった。
でも私が部屋にこもるようになって学校に行かなくなってから連絡もつかなくなってしまった。私は彼が好きだった。

あぁホントに病んでしまいそうだ。
そんな時彼は何をしていたか。彼は全力で“私”の家へと走っていた。
何故走っていたか。その理由はただ一つ。
嫌な予感がしたからだ。人はたまに嫌な予感を感じる時がある。そしてその予感が的中する時もある。
それと同じく嫌な予感が的中していた。今“私”の家では私が首吊りをしようとしていた。
もうこんな日が続くなら死んだ方が……
そう思い私が首吊りを実行しようとした瞬間窓の方から聞こえた。
「“紅音”!!」
あぁ友達が私の名前を呼ぶなんていつぶりだろうか。しかも友達ではなく親友に。
私は思わず病みより喜びが勝ち窓の方へと走っていき窓を開けた。その先には間違いなく親友である彼が居た。
私は思わず言ったんだ。
「“寿羽”!!!」
そう私が言うと彼は思いっきりの笑顔でこちらを向いてくれていた。

~完~
*この物語はフィクションです。

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