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『未来なんて誰にもわからないけど、ここまでは来れたじゃないか』「アイカツ! 10th STORY〜未来へのSTARWAY〜」感想

公式により公開日から26日までネタバレ禁止ということで27日からようやく感想書けるかな?ということで久しぶりに想いをぶつけました。言いたいことが山ほどあったので本当に長かった……。

この度公開された未来へのSTARWAY、よくオタク達が感化された作品に、この作品は人生等と大袈裟に語ることは多々ありますが、この作品に関しては人生の総括以外に当てはまる言葉があるでしょうか?
前々から思ってたいましたがアイカツは壮大な大河ドラマなのだなと改めて思いました。

今回の映画で1番の驚きだったのはアイカツでは初めての?現在→未来→現在に戻り→再び未来に戻るトリッキーな構成でしょうか?
あおい姐さんの旅立ちを50話と重ねたり、卒業ライブをやって最後に大人のパートを見せて終わらせる構成が普通なんじゃないかと思ってたので、このトリッキーな構成でとっ散らかることなくバシッと全体のストーリーを固めた加藤氏の構成力の高さを思い知らされた気がします。

尺は72分間で3話分のパートで分けられており、話の流れとしては、いちごあかりのコスモスのライブの打ち上げでそろそろスターライト学園を卒業する時期が近付いてきた話になりいちごちゃんは卒業を意識し、いちごちゃんはもっとアイドルを頑張っていく、あおい姐さんはもっと自分に自信を付けるためにロサンゼルスの大学に留学、蘭ちゃんは役者を勉強したい、それぞれの道を進むことを決め卒業を最後にsoleilの活動を休止、また三人がパワーアップして集まれたらsoleilを復活することを約束。

ここからプラネットとの同時上映でやった以降の話で、卒業ライブを飛ばしてまさかの22歳になったいちごちゃん達の未来の話へ移り、いちご蘭は同棲しいちごはソロドームツアーの企画、蘭は舞台の稽古、あおいは卒論に向けてそれぞれ大忙し、ここで大人になったいちご、蘭、あおい、美月、かえで、ユリカのビジュアルが出てくるのですが1番「エ''ェ''ッ''ッ''」と声を出しそうになったのはやはりらいちでしょうか、声は少年期から続き瀬戸さんなのですが父さんに似てイケメンになり今にも子安武人ボイスで喋りそうな風格に、「本編最終回でも大して変わらなかったあんなちっちゃいらいちがこんなでかくなって」と親戚のおじさん達ってこういう気持ちだったんだろうな。
というかいくらアイドルの家に生まれたからっていちご、蘭、かえで、ユリカに囲まれてるのになに平然と鍋食えるんだよ!あとなんだらいちイーツって!出前館でいいだろ!
後、大人パートで蘭が舞台の稽古をする場面があるのですが、アイカツのドラマ描写といえばぶっとんだ設定の舞台、癖の強い監督、なぜかいるジョニー先生、最後はライブまたは挿入歌というのが鉄板だったので、監督の「もっと壊していいから」という演技指導や通しの稽古とリアルな描写は「本当に大人になったんだな…」と、今回の映画は加藤氏がアイカツでは初めて子供を意識せずに脚本を書いたとのことなのでこの場面が筆頭だったんじゃないかなと思いましたね。

そんな中いちごはどうすればもっとお客さん達を楽しませることができるか、あおいは勉強が忙しく無事卒業できるのかという不安、蘭はまだ自分の演技に悩みを抱える場面、トップアイドルになってもなお悩み自分を高めようとする彼女達の背中を押したのは「過去の自分達」、どうなるかはわからないけどここまでは来れた、ここでソレイユの3人がそれぞれ卒業ライブを思い出し、蘭の車に飾ってある卒業写真から現在の卒業ライブ前に戻る構成天才すぎんか???

卒業ライブ全ての始まりであるSignalize→TRAVEL RIBBON→MY STARWAYという構成でCGはさすがのサムライピクチャーズクオリティ、ルミナスの新曲も可愛らしくあかジェネらしさで溢れてる素晴らしい楽曲ですが、恐らく観に来た人に深く突き刺さったのはソレイユ最後の挨拶でのいちごちゃんの言葉

「私達も君も嬉しいこと楽しかったこと辛いこと悲しいこと色々あったけど、頑張ってここまでは来れた、だからこの先の道もきっと大丈夫」

一言一句まではさすがに憶えていなかったのですが、ニュアンス的にはこんな感じだったと思います。この言葉を聞いた瞬間から僕は涙が止まらなくなった。
アイカツに憧れてアイドルを、役者を、アニメーションの仕事を志した素敵なエピソードがある。自分がアイカツを知ったのは約4年前でそんな劇的なエピソードなんてなく、自分の人生と言ったら大きな夢も持たず、積極性もなかったのでただ流されるように目標もなく高校、大学と進み単位取るためにやるくらいで勉強なんて熱心にやらなかったし、就職だって取り敢えず就職できれば後はいいなんて考えだった。慣れない仕事に苦労して上司に怒られては引きずって落ち込んだり、就職したタイミングでよく気にかけてくれてた祖母が亡くなったりとメンタルをやられてた時期もあった。
そんな決して上手くいってない凸凹な人生をでも頑張ってここまではこれたじゃないかと、いちごちゃんが肯定してくれたような気がした。
自分以外でもアイカツをリアルタイムで観て育った子達は小学校に上がって間もない頃に震災を経験し、中学、高校でコロナ禍を経験した世代で、本来だったらやれるような活動もできず苦い経験をした人達は沢山いたはずだ。元々アイカツはもう少し人間関係がドロドロした内容になる予定で、ライバルのカードを破くなんて展開も想定されてた作品だった。だが企画直後震災があり、明るく皆が元気になれるような作品にしようと方向性を変えて今のアイカツになった。そういう意味でも当時観てた子供達がある程度大人になり再びその人達の背中を押してあげようとする展開になったのも原点に立ち返ったためなのかもしれない。

ファンムービーとして観たらどうか?ドリアカやバチペはワンカットしか映らないし、みくるに至ってはOPのカットのみです。それってファンムービーとしてはどうなの?となるかもしれません。言い方は悪いですがそこは焦点じゃないしどうでもいい、推し文化がある以上たくさんキャラを出した方が喜ばれるかもしれない、しかし物語は取捨選択が大事で、メインを絞って喋るキャラが少なったとしてもこの作品で伝えたい想いがあるんだというのをこの映画から強く感じられるでしょう。

アイカツ10th STORY 未来へのSTARWAYを観て自分達にできること、この映画に恥じないような生き方をしなさい!………とまでは言わなくても今を頑張って生きていこう、そのくらいならできるかもしれない。未来なんて誰にもわからないけど頑張った分だけ今日よりもっと素敵な明日になってるかもしれない。
そんな映画だったと思います。



追記
いよいよ今月5月26日Blu-rayBOX発売、ライブシーンのフルや新規映像もあるらしいので公開中観れなかった人は買いましょう。
続編、完結編を作るにあたってひとつの答えを出した傑作なので




















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