見出し画像

夕暮れの空

四月の夕空から舞い降りてきたような
優しいギターの音色に包まれて
あなたの歌は私の耳に届きます

――憶えていますか
 
あなたはいつも不思議そうな眼をして
少女のように小首をかしげて
私を見つめる
その頬に陽だまりのような
優しい笑みをたたえて
 
私は思わずうつむいて
何か言おうとして
何も言えなくて ただ
あなたの歌声に耳をすませた
 
――あの日の夕暮れの空は
影絵のような並木の向こうに
思い出の色でいつまでも優しく続いていた