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夢を食べる蜘蛛

夢の世界はすべて繋がっている。
蝶の背中を追いかけながら、蜘蛛はその言葉を思い返していた。

「別に僕は、好きでこんなことがしたいわけじゃないんですからね」

蝶は何を思ったか、ありもしない聞き手に対して言い訳をした。発作が起きればおどろかされ、調子が悪ければ会話のできない蝶の相手は蜘蛛にしてみれば面倒だった。しかし、蝶よりも夢の世界の渡り歩き方を熟知しているものもいない。

「ほら、着きましたよ。この人の夢は、ええと、昔の家族との思い出を見ているようです」

蜘蛛はクルクルと夢を糸で包み込む。いつか心が落ち込んでしまったとき、キャンディを食べるように夢の糸をほどいて心の栄養にできるように。

「優しいもんですね。いい夢は大切な時にとって置けるように。悪い夢は見ては毒だと片づけてあげて」
蜘蛛はその声に応え、頭を少し下げた。

「さて、行きますか。なんでこんなに夢はたくさんあるんだか」


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