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スズムシとコオロギ
「なあ、こんな話を聞いたことはあるか?」
「ないね」
「少し待ってくれよ。少しだけでいいからさ、付き合ってくれ」
コオロギはスズムシにお願いをする。気が乗らずにない声を上げ続けるスズムシに、コオロギは負けじと声を張り上げる。邪魔をされ立ち去ろうとするスズムシに、コオロギは追いすがった。
「なんだよ、早く言ってみろ」
「人間がさ、おれたちのどっちもをごちゃまぜにして虫かごに入れるんだよ」
「お前みたいなのと一緒にされるとぞっとする」
「それで、おれたちを先に出すんだとよ」
「なんでだ」
スズムシは首をかしげるも、勢いの余り痛めそうであったので途中で無理やり力を籠める。そのせいで、少し痛んだもののコオロギは気にしない。
「時期の問題さ。おれたちが先に表に出る。お前たちは後から来るだろ?」
「でも、どうして混ぜるんだ」
「見分けがつかないんだとか」
ご清覧ありがとうございました。
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