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いまはまだ

新しい夜を迎えると、楽しい朝を夢に見る。ぼくの夢は大抵が朝だった。
夜が深くなると、夢を見なければいけないことが嫌だった。夢の中のぼくはいつも朝を迎えてたせいでずっと起きているような心地がした。

「おはよう」

母のこの声だけが、ぼくがきちんと起きていることを教えてくれる。それからのにおいはよくはわからない。あんたには情緒がないとか言われるけれど、夜のないぼくに情緒なんてあるのだろうか。

「おはよう。今は現実?」
「何馬鹿なこと言ってんの。現実じゃなければなんだっていうの」


ご清覧ありがとうございます。

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