明滅する銀杏の木
テールランプに照らされた銀杏は赤緑と一定の調子で色を変える。そこに整然とした意味はないものの、見出すことは簡単だった。
「明日のコーラは炭酸が抜けているって」
彼女はすぐさま意味を見つける。まるで天気予報を見たかのようなその言草に、僕は少し恋をしそうになった。
「そしたら明後日のことは何か言ってる?」
「今は犬のフンを片付けるために袋を取りに行ったら罰金食らって最悪だってさ」
本当のことを言っているのかは怪しかったけれど、ぼくはそれをずっと聞いていてもいいくらいだって、そう思った。
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