横山美術館「雅の世界で輝きを発する 錦光山と帯山」展開催のご案内
名古屋の横山美術館様で2023年7月7日から10月9日まで「雅の世界で輝きを発する京焼 錦光山と帯山」展が開催されます。
横山美術館様は、錦光山宗兵衛をはじめ帯山与兵衛など「京薩摩」の名品、逸品を数多く所蔵していて、今回70~80点ちかくが展示されるそうです。初見の作品も展示されるようでわたしも大いに楽しみであります。
上の展覧会のチラシをご覧になっていただきますと、右が七代錦光山宗兵衛の『上絵金彩花文麒麟鈕大香炉』(明治時代後期)であり、左が九代帯山与兵衛の『上絵金彩扇面散文大花瓶』(明治時代中期)だそうであります。
わたしは『上絵金彩花文麒麟鈕大香炉』は初見であり、落ち着いた黒っぽい色調のなかに金彩や朱、薄紫で花々が描かれており、蓋(ふた)の精緻な透かし彫り、精巧な麒麟の鈕(ぼたん)など見どころ満載で、いまから胸がわくわくします。
横山美術館様は展覧会のポスターを送ってくれましたので、折角ですので額装して飾らせてもらいました。
なお関連イベントとしまして、
わたしの講演会「京薩摩と錦光山の魅力をさぐる」が、2023年9月24日(日)に4日(日)13時30分から15時に開催されます。
定員は事前申し込み制で、お電話より先着順となっておりますので、ご興味のある方はよろしくお願いします。また講演会後、拙著『粟田、色絵恋模様 京都粟田焼窯元錦光山宗兵衛外伝』の販売も予定しておりますので、よろしくお願いします。
なお、下記のチラシをご覧になっていただきますと、わたしの祖父の七代錦光山宗兵衛の作品としては、『上絵金彩新羅三郎図花瓶』のような典型的な京薩摩の作品から、アールヌーヴォー様式の『釉下彩透彫朝顔文花瓶』、またどこかアールヌーヴォー様式のテイストを感じさせる『上絵金彩花蝶図花瓶』など実に多彩な作品が展示されるようです。
それだけでなく、横山美術館様は、七代錦光山宗兵衛のアールヌーヴォー様式のなかでも最高級の逸品と思われる『盛上網文葡萄図花瓶』や『上絵沢瀉(おもだか)図双耳花瓶』を所蔵しています。思い起こせば、こんな素晴らしい宗兵衛のアールヌーヴォー様式の作品を所蔵している横山美術館様はどんな美術館なのだろうかと思ったことが、わたしが最初に横山美術館様に関心を持った始まりです。
一方の帯山与兵衛ですが、上記画像の左に掲載されている作品の『上絵金彩花鳥図花瓶』と『上絵金彩綾棒踊図花瓶』をご覧になっていただきますと、華麗な色彩のなかでブルーの色の使い方が実に巧みなのがお分かりいただけると思います。
帯山与兵衛家は、代々、京都粟田焼の窯元であります。拙著『京都粟田焼窯元錦光山宗兵衛伝 世界に雄飛した京薩摩の光芒を求めて』で触れていますが、寛政十一年(1799)の『粟田口焼窯元・窯焼仲間 定』(雲林院寶山文書)で粟田の窯元8名のなかの一人であり、代々、粟田で禁裏御用を勤めており、毎年正月には松竹梅の絵付けをした大福茶碗を献上していたと伝えられております。四代帯山与兵衛のときに瑠璃地陶器を創製したといわれており、帯山与兵衛家は瑠璃釉に妙技を発揮していた陶家といえるのでないかと思われます。
なお、「和編鐘」演奏家の櫻井有機子さまにいただいた三好一氏の「京焼探玄記」のなかに「東町帯山事一窯所持 帯山與兵衛 右方は禁裏御用土陶御用職仕毎年正月大福の御茶碗を焼候色薄玉子薬掛り紺青にて松竹梅模様付此外臨時御用も被仰付候よし納所は寺町通丸太町下る富田屋勘兵衛、烏丸長者町下る金屋九郎右衛門此両家へ差出し則右両家の下職のよし」と書かれています。
錦光山家と帯山家の関係を申し上げますと、明治5年(1872)に、八代帯山与兵衛は、六代錦光山宗兵衛ととも神戸の外国商館を訪れ、「京薩摩」の海外貿易の端緒を切り拓いた、宗兵衛の盟友といえる存在です。なお、九代帯山与兵衛は、四代清水六兵衛の弟であり、明治12年(1879)に24歳のときに帯山家の養子となり、海外貿易に力を入れ、内外で数々の賞を受賞しましたが、貿易に失敗して明治27年(1894)に粟田での陶業を廃業したと伝えられています。なお、帯山家は東錦光山の左隣にあり、その右前に帯山絵場がありました。
蹴上インクライン下のねじりまんぽ入口に掲げられている「雄観奇想」と「陽気発処」の陶額は、九代帯山与兵衛が寄贈したものと言われています。
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