むかし書いた韓国コラム #664

 飲食店で店員を呼ぶ時は、日本なら「すいません」だが、韓国だと「ヨギヨ(ここです)」「サジャンニム(社長)」「アジュンマ(おばさん)」「アガシ(お嬢さん)」「オンニ(お姉さん)」など多彩だ。これらの言葉を禁止されたならどうなるだろうか。自宅近くにこれらの言葉が「禁止語」に設定されたお店がある。代わりに店長、厨房長、厨房担当、ホール担当の名前が壁に掲示されている。必要な時は直接名前を呼ばなくてはならない。不慣れな初心者には少々やりにくいが、名前を呼ぶことで親近感が湧く効果もありそうだ。

 ちなみに、「禁止語を使った場合には盛りが少し…」と注意書きが書いてある。どうやらルールを破ると盛りが少なくなるというペナルティが科されるようだ。それが事実かどうかは確認していないが、禁止語ルールを知らずにふらりと訪れた客にとってはとんでもないトラップだ。たまにはこうした変わったお店も面白い。

【解説】
 日本でも「おい、生ビール」と頼むと1000円、「生ひとつ持ってきて」なら500円、「すいません、生ひとつください」なら定価の380円でビールを提供するという居酒屋が話題になったがそれと似たようなものか。店員と客は対等な関係だ。どこのお店であっても、どちらかが不快になるような言い方は慎みたい。

 
(初出:The Daily Korea News 2015年11月2日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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