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むかし書いた韓国コラム #112

 とあるコーヒーチェーン店でのこと。コーヒーを受け取りセルフカウンターでストローやナプキンの用意をしていたら、張り紙が目に入った。セルフカウンターに牛乳は置いていないので、必要であれば店員に申し出るようにという内容が、韓国語と英語、日本語で書かれていた。これだけならごく普通のコーヒーショップなのだが、その下に日本語で「ハングル豆知識 ミルク=ウユ ミルクを下さい=ウユチュセヨ」と書いてあった。

 牛乳がほしければ店員に言わなくてはならない。たったそれだけのことだが、言葉がわからない引っ込み思案な日本人にとっては心理的なハードルがあるかもしれない。「店員にお申し付け下さい」だけで済まさず、「このように言えばいいですよ」という提案まで併記してあるのは小さなことだが、言葉の不慣れな観光客にはありがたいだろう。あくまで「豆知識」としての併記であり押しつけがましくないところも好感が持てる。「顧客の立場に立ったサービス」の好例と言えよう。

【解説】
 観光客にとっては簡単な韓国語が通じただけでも楽しい体験だろう。ガイドブックにも巻末に簡単な韓国語が掲載されたりしているが、ミルクをもらうときの例文まではカバーしていないはずで、こういうお店の気配りは称賛したい。ただこの店は日本人観光客が来るような場所ではなくどれほどの効果があったのかわからない。大手チェーンだったがすべての店でやっているわけでもなさそうだった。ぜひ多くの店で導入してほしい。

(初出:The Daily Korea News 2013年12月3日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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