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むかし書いた韓国コラム #121

 引っ越しのための部屋探しをしていると、下見でまだ住んでる人がいる部屋を訪れることがある。呼び鈴を押してだれも出てこなければ大家が合い鍵でドアを開ける。おそらく住人の許可は得ていないだろう。店子がいても部屋の所有権はあくまで大家にあり、留守中に勝手に入るのも大家の権利と思っている節がある。

 引っ越しの下見に限らず、大家はいつ襲撃してくるかはわからない。あるときは帰宅したら天井の照明が交換されていた。翌日大家と顔を合わせたら「照明を代えておいた。明るくなってよかっただろう」とニコニコ顔。決して悪気はないのだろうが、留守中に入るなら事前に連絡がほしい。散らかった部屋を見られたと思うといい気分はしない。

 あるときは居留守を使っていたら大家がカギを開けて入ってきた。「なんだ、いるんじゃないか!」と叱られ、「すいません…」と謝ったが、こちらが謝罪すべきことなのか。いまいち腑に落ちない。

【解説】
 ソウルで最初に住んだ家はアナログの鍵だったため大家が合鍵で開けることは多々あった。次に住んだ家からはデジタルロックになったが、それでもマスターキーがあれば解錠は可能だ。ただ最初の家以外では勝手に家に入られることがなかったのは幸いだった。その後住んだ2軒は引っ越しのために退去することを告げると真っ先にデジタルロックの暗証番号を聞かれた。拒否してもいいがその場合は退去するまで部屋の下見ができないため次の入居者が決まるまで時間がかかり、入居時に預けた保証金が払い戻されるのも時間がかかることになる。

(初出:The Daily Korea News 2010年4月21日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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