むかし書いた韓国コラム #104
韓国人が日本語を習得する上でやっかいなもののひとつに長音の存在がある。日本語では「ー」で示される長音だが、韓国語には長音記号は存在しない。以前はハイフンを長音記号の代わりに使うケースも見られたが、正書法でもなく、外来語表記以外に長音は必要ないせいか、定着せずに廃れていった。
長音記号がないので長音の入る発音も苦手なのだろう。「ビール」と言ってるつもりで「ビル」になるケースなども目につく。「おじいさん」なのか「おじさん」なのか判別できないことも。
書くのも難しいようだ。知り合いの韓国人からカタカナ表記についての問い合わせがたまにある。「『コンピューター』はどこに長音が入るんだ?」。教えてあげるともうひとつ質問が。「『エンジニア』はどこに長音が入るんだ?」。入らないと教えると、「なんでだ?」と腑に落ちない様子。どこに入れたかったのだろうか。
【解説】
コンピューターだって「コンピューター」なのか「コンピュータ」なのかは人によって違う。共同通信社の記者ハンドブックでは「コンピューター」を用いている。エンジニアに長音を入れたければ「エンジニアー」となるのだろう。しかし同書では英語の「-er」は長音「ー」で表記するとあるが、エンジニアやキャリア、コンテナなどは「例外」とされている。
(初出:The Daily Korea News 2010年3月4日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)
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