むかし書いた韓国コラム #303

 韓国のカラオケ店では基本的に清涼飲料以外の飲食物は売っていない。当然アルコール類もない。ビールに似たパッケージのビール風飲料があるだけだ。カラオケ店に行くときは2次会や3次会が多く、いい感じにできあがっている。しかし気持ちよく歌っていても、ノンアルコールのビールもどきを飲んでいるとだんだん酔いも覚めて現実に引き戻される感じがする。

 ところがたまに内緒でビールを売ってくれるカラオケ店もある。注文すると、紙コップに入ったビールが出てくる。ご丁寧にビール風飲料の空き缶をつぶしたものも添えられている。これはもしも抜き打ちで警察の検査が入ったときのカモフラージュ用だという。警察が来たときにはビールを一気飲みして証拠隠滅をはかれと教えられた。

 本来は禁止のビールがあるのはありがたいが、隠れてこそこそと飲んでもうまくない。適当に切り上げて飲みに行った方がよっぽど健全だろうか。

【解説】
 逆に厳しいカラオケ店もあって、持ち込みが見つかると追い出されたりもする。入店時にコンビニの袋をぶら下げていると「お酒の持ち込みはないですよね?」と確認されるし、密かに持ち込んだビールのロング缶を一緒にいた女性のブーツに隠して(靴を脱ぐ店だった)飲んだりしたが、そこまでして飲むくらいならさっさと飲み屋に行った方がいい。

(初出:The Daily Korea News 2010年1月27日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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