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むかし書いた韓国コラム #94

 中華料理屋で会食をすると、大皿料理などを食べたあとに締めの食事が出る。焼き肉屋で冷めんや白飯が選べるように、中華料理屋ではチャーハン、チャジャンミョン、チャンポンなどを選べる。そして結構な割合で「キスミョン」も選択肢に挙げられる。ところがこのキスミョン、日本人の間ではあまり知られていない。

 キスミョンは中国語で「鶏絲麺」と書き、鶏肉の細切りがのったあっさり塩味スープのめん料理だ。中国の「炸醤麺」が韓国では「チャジャンミョン」に変身しているが、おそらく鶏絲麺は原形をとどめていると思われる。

 これを頼むと、同席の日本人はだいたい不審そうな顔をする。よくわからない料理だけに当然だろう。いざ登場したキスミョンを試食させると意外に評判がいい。刺激の強い料理が多い韓国で、このあっさり薄味は落ち着く味でもある。「私も次からはこれを頼もう」というファンも着実に増えている。普通の韓国中華に飽きたらお試しを。

【解説】
 キスミョンはその後即席めんの商品も登場した。しかし韓国中華のめん料理界はチャジャンミョンとチャンポンという2大巨頭が君臨しており、キスミョンの存在感は極めて薄い。鶏だしの薄味スープはホッとする味でもあり、中華料理屋での会食時は締めに食べることが多かった。

(初出:The Daily Korea News 2011年5月23日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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