むかし書いた韓国コラム #565

 この冬は寒かった。外出するのが億劫になるほどに。聞けば15年ぶりの寒波だったとか。そんな寒い日のこと、友人から飲みの誘いがきた。前からの約束ならいざしらず、氷点下10度を下回る厳寒の日に突然なにを言いだすのか。しかも漢江を渡って自宅近くまで来いという。「いや、飲みたいというのならそっちが来るべきだ」「いい酒が入ったんだ。来なよ」「それならその酒を持ってこっちに来い」。どちらも寒い中を出かけたくないので激しい攻防が続いたが、結局決着はつかず。決して仲違いをしたわけではないのだが、厳しい冷え込みの中で友人との関係もどこか冷え込んでしまったようだ。

 3月も中旬に入り気温も上昇してきた。いまなら漢江を越えて飲みに行くのもやぶさかではない。春の訪れとともに友人との関係も雪解けといきたいところ。さて、そのいい酒とやらはまだ残っているだろうか。雪解けどころか新たな遺恨とならないか少々心配な春の日だ。

【解説】
 結局この問題がどう決着したのかは記憶にない…。

(初出:The Daily Korea News 2016年3月15日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります

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