むかし書いた韓国コラム #864

 いよいよ秋夕だ。旧正月と並び多くの店が休業する時期だが、それでも最近はファストフードやコンビニエンスストアもあるし、大型スーパーも一部は秋夕当日に営業するところもあるから、休み前に食材を買い出しに行かなくても食いっぱぐれることはなくなった。

 十数年前の留学時代に下宿に住んでいたが、秋夕のときは下宿の主人一家も里帰りしてしまい、下宿生には休み中の食事代わりとしてカップラーメンを配られた思い出がある。多くの韓国人は故郷に帰り、家族とともにごちそうを食べているだろうに、容易に帰るわけにもいかない外国人留学生は連日カップラーメンをすするしかなかった。ツナ缶を加えたり、玉子を入れたりもしたが、わびしさは募るばかりだった。

 秋夕というとそんな切ない記憶が思い出される。家族で集まる韓国人と、淋しく過ごす留学生。対照的ではあるが、家族のありがたみを再確認するという意味では同じかもしれない。

【解説】
 その留学時の秋夕、同じ下宿の日本人留学生とともにやってるお店はないかと新村の町を歩き回ったのも懐かしい思い出だ。

(初出:The Daily Korea News 2010年9月20日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)


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