むかし書いた韓国コラム #638

 タクシーの運転手が道に詳しいのは当たり前だが、行き先を告げるだけで「××路から△△大橋を超えるルートでいいか?」と瞬時に答えが返ってくるのは頼もしい。交通情報のチェックも欠かさず、「○○路は混んでるから××路経由だな」と、カーナビ顔負けの運転手は安心できる。

 困るのは道を知らない運転手だ。「○○洞まで」「どこだいそれ?」「××駅の近くだけど」「知らないなぁ、何号線?」。プロ意識に欠けた運転手と問答が続く。こちらも道を知らないのは悪いかも知れないが、そっちはそれで稼ぐプロだろう。辺鄙なところに連れて行けという依頼でもない。そもそもきょうびのタクシーはナビを搭載している。どうしてナビを使わないのか。

 思わず「そのナビは飾り物なのかい?」と大人げない質問をしたら車内は一気に険悪ムードに。目的地までやけに長く感じられたのは張り詰めた雰囲気のせいだけだったと信じたい。

【解説】
 プロ意識のある運転手ほどナビを使いたがらない。道を知らないのはドライバーの恥とでも思っているのだろうか。この運転手の場合、道を知らないだけでなくナビの使い方を知らなかったのではないかとの疑惑もある。プロ意識以前の問題かも。

(初出:The Daily Korea News 2010年1月13日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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