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むかし書いた韓国コラム #1000(最終回)

 韓国語をカタカナ表記するのはけっこう難しい。明洞辺りの飲食店でも日本語の看板には苦労の跡が見て取れる。鶏肉を甘辛く炒めた人気料理の「タッカルビ」。日本では「ダッカルビ」と表記されることも多い。初声を清音にするか濁音にするかの問題だ。音声学的にどちらかが絶対に間違いだとは言えないのだけれど。

 その「タッカルビ」の表記で、「ダックカルビ」というのを見かけた。「タク=鶏」の「カルビ」だが、さまざまな表記方法を考えるとこういうケースもあるだろう。しかし「ダックカルビ」では、「ダック=あひる」の「カルビ」と混同しないだろうか。そんな料理が存在するとは思えないが、事情を知らない観光客なら「あら、あひるのカルビだわ」と勘違いして入らないとも限らない。

 幸い、鶏もあひるも同じ鳥。間違えたところで大きな違いはない。でもあひると思い込んだまま鶏肉を食べて帰った観光客も1人くらいはいそうな気もするのだが…。

【解説】
 ダックカルビのほか、焼き肉屋の日本語看板で「やぎにく」と書かれているものも見かけたことがある。ヤギの肉が食べられるのかと思いきやただの牛肉だ。あとは「ひつじ」を掲げる焼き肉店もあった。これはミノの韓国語「ヤン」がヒツジと同音のために起きた誤訳。韓国旅行でアヒルとヤギとヒツジを食べたという人がいたらちょっと疑ってみる必要がある。もちろん、本物のアヒルやヒツジを食べられる店もあるのだけど。

(初出:The Daily Korea News 2010年12月1日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)
 
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 1日3本ずつ更新してきた当コラムですが1000回に達したのでこれにて更新終了といたします。2009年から2018年にかけて書いたコラムは2000本を超えましたが、内容的に時宜不適切だったり面白くなかったりするものを省くと公開できるのはこの程度でしょうか。本コラムは会員制情報紙(2018年3月で休刊)に連載していたもののため、読まれる機会は極めて限定的であまり日の目を見ていない不遇な作品群です。書き手としてはもう少し人の目に触れさせることでせめてもの供養になるかとnoteで公開することにしました。楽しんでいただけたなら幸いです。コラムの更新はこれで終わりますが、せっかくnoteのアカウントを作ったので、しばしの休息ののちまた別の企画を考えています。お楽しみに。

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