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皮脂欠乏性湿疹について

こんにちは。「おい、となりの!皮膚科医なんだからそろそろ皮膚疾患のことをSNSにあげろ!」とどこから言われそうなので、本日は冬場の高齢者に特に多い「皮脂欠乏性湿疹」について解説します。
 冬は何かと乾燥する季節です。どんな世代の方もそうですが、乾燥に伴う皮膚トラブルは冬に多く見られます。ご高齢の方々は、毎年冬になると「乾燥して体がかゆい。医者に診てもらったほうがいいかな?」、そのように感じることがしばしばあると思われます。私も冬の時期の外来では乾燥に伴う皮膚疾患を数多く経験します。
 年齢を重ねると、皮膚は自然と薄くなり弾力性がなくなっていきます。程度の差はありますが、ご高齢の方で「私は20歳の時と皮膚の質感が全く変わらないよ」と自信を持って言える方は、少ないのではないでしょうか?「皮脂欠乏性湿疹」の写真を以下に載せます。

皮脂欠乏性湿疹

皮膚は「皮脂」と呼ばれる脂のようなものを常に分泌しています。皮膚はこの皮脂によって全体が覆われています。これにより、皮膚は適度に加湿され、変な菌がついても体に入り込まない、バリアーとしての機能が発揮できるのです。しかし、季節が冬になると外気が乾燥します。外気の乾燥が強ければ、いくら皮脂が分泌されても皮膚は乾燥してしまうため、これにより皮膚がバリアーの機能を発揮できなくなります。このため冬を中心に、皮膚が乾燥して体がかゆくなったり、かゆみが原因でかいて皮膚炎(湿疹)ができてしまったり・・・、ということが多く発生するのです。
特にご高齢の方々では皮脂の分泌能力が若い方々よりも低下していることが多いため、冬に「皮脂欠乏性湿疹」が多くなります。加えて「皮脂欠乏性湿疹」は冬に多いものの、冬だけに見られる皮膚疾患ではありません。夏でも起こりえます。それは皮脂の分泌能力が低下したご高齢の方々に多いようです。最近新型コロナウイルス感染症で手指のアルコール消毒が日常的となりました。アルコールは皮膚の乾燥を助長するので注意が必要です。
「皮脂欠乏性湿疹」を予防するにはどうしたらいいのでしょうか?簡単です。皮膚を保湿すればいいのです。特に冬の時期は市販のワセリンや保湿クリームで十分なので、風呂上がりの最低1日1回は保湿してください。肌が弱いなと感じている方は、1日2回がお勧めです。これだけでも、皮膚の乾燥はかなり防ぐことができ、「皮脂欠乏性湿疹」の発症は少なくなります。かいて皮膚炎(湿疹)になっているところは、保湿剤に重ねてステロイド外用を1日2回行えば数日でよくなりますが、市販のステロイド外用薬は私が使うステロイド外用薬よりはるかに弱いものがほとんどです。皮膚の乾燥だけでなく、「皮脂欠乏性湿疹」を発症してしまったなと感じたら、クリニックか病院の皮膚科にご相談ください。


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