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週刊ヲノサトル vol.1 (2018.10.1-10.7)

/クレイジー・リッチ!
/チューリップ・フィーバー
/ジョージ・クルーニー原理主義
/フロリダ・プロジェクト
/お金が好きな人
/浅漬けと鷹の爪
/ブラックベルベッツ
/90年代というミッシングリンク

10月1日 (月)

■ 毎年、ゼミの自主ライヴで会場に学生が集合すると開口一番にこう訊く。
「ライヴを準備する上で一番大事なものは何かわかるかね?」
(学生、黙る)
「飲食物だ!」(クーラーボックスの蓋を開けてお菓子やペットボトルの飲み物をテーブルにぶちまける)
(学生の歓声)


10月2日 (火)

■ 映画 『クレイジー・リッチ!』 

たまたま彼氏の実家に行ってみたら、途方もない大金持ちの御曹司だった!

……っていう、まあ日本の少女マンガで何度読んだかわからないような王道ストーリー。これが香港映画なら驚かないが、ハリウッド映画なのに全員アジア系キャスト、ってところがポイント。

アフリカ系キャストの 『ブラックパンサー』 がヒットしたり、ヒスパニックの カミラ・カベロ『ハバナ』 がVMA(MTV Video Music Awards)を受賞したり、……っていう、今のアメリカ社会の人種に関する大きな流れの一つかなと思う


■ 映画 『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』 

薄暗い部屋に窓から光の入るフェルメール絵画を再現した映像美。絵描きとモデルの恋という通俗的な話で終わらず、チューリップ球根のバブル投機というお金の話も絡まってスリリングに展開。あとクリストフ・ ヴァルツがイイ人なんすよ……。イイ人すぎるぐらいイイ人なんすよ……。(思い出し涙)


■ たとえば歩道橋の下で、トランクを抱えて困ってる人を見かけると(映画の中のジョージ・クルーニーだったらこうするだろうな……)と思い、歯を見せて笑いながら「持ちましょうか?」と声をかける。無事に歩道橋を渡りきったら「良い一日を」と微笑んで立ち去る。これがクルーニー原理主義である。

本当のクルーニーがどんな人物か知らないし、キャスティングはべつにジェームス・スチュアートでもポール・ニューマンでもかまわないが。こういった仮想上の「かっこいい大人の男」を心の中にモデルとして持つのは、映画に溺れた人間の権利であり義務である。


■ しかし4分の3過ぎて振り返ると今年もいろんな映画があったが、一番心に刺さってるのは今のところ 『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』 だ。

自分もダメなシングル親だからかもしれないが。どん底に堕ちていく現実と、ファンタジックなヴィジュアルとの、コントラストが素晴らしい。それでも世界は美しい、と思わせてくれるラストの疾走に泣いた


■ 映画に学んだふるまいと言えば、「肩をすくめる」って行為も、良くできた危機対応スキルだと思う。自分ではどうしようもない事態がとつぜん起きた時、いったん肩をすくめて両手を広げ「ウー・ラ・ラー!」とか声を出してみれば、とりあえず体の力は抜ける


10月3日 (水)

■ むかし近田春夫さんと対談した時「世の中にはお金そのものが好きな人と、お金を使うのが好きな人がいる」と言われたのを今でもおぼえてる。個人的には、お金という数字が好きで利殖に精を出す人の気持ちが全くわからないので、稼いだ分はぜんぶ使って飲んで食って死にたい。


■ いつも書くけど、富豪にも貧者にも平等な人生の資産は「時間」だ。お金で時間は買えるが、失った時間はどんな大枚をはたいても二度と取り戻せない。まだ先があると思ってる若い頃は、その価値に気づかないが、気づいた時にはもう遅い。それが「時間」だ。


■ ↓ 映画『クレイジー・リッチ』の麻雀シーン。レイチェルが最後にああやったのがわざとだってのはわかったけど、席順や配牌や捨牌にもそこまで意味があるとは気づきませんでした…! 


10月4日 (木)

■ 当方は市販の「浅漬けの素」を常備し、大根の皮や、レタスの芯のあたりのあまり美味しくない部位といった野菜くずを漬けて食すのだが、一緒に鷹の爪をちぎって種ごと入れるだけで「市販の浅漬けの素」感がかなり消え、どんなお酒にも合うピリ辛おつまみとして立ち上がってくることは報告しておきたい。


■ コメント用紙に『〇〇の××って曲を流してください〜♡』とだけ書いてくる学生には、なぜ君が好きだというその曲を、貴重な講義時間をさいて履修生全員で鑑賞する必要があるのか、せめてその根拠を書いてくれと言いたい。

とはいえ、例年そういった書き込みから新しい事例を知って次の講義にいかすことも多いので、こういう面白い作品があるよっていう通報自体は大歓迎です。


10月5日 (金)

ブラックベルベッツ LIVE at セラヴィ(横浜)


10月6日 (土)

■ ブラックベルベッツ LIVE at おでん祭り(小田原)

シュールでナンセンスなバンドです。


10月7日 (日)

■ 息子氏と街を歩いたら焼け死んだ。気温32度ですと…?
今日の渋谷・原宿は、灼熱の東京砂漠!

■  90年代の東京アートシーンについては紙媒体にもほとんど残っておらず、インターネット前夜のミッシング・リンク状態なので、生き証人が語りつぐ必要あると思います。レントゲン主催の様々なパーティ、マラリアアートショー、初期デパH、かつじさん&宇治野さんの世田谷のホームパーティ、スタジオ食堂 etc...

そういえば当時、芝浦インクスティックで村上隆さんが紙を破るパフォーマンスを、ファンク・バンドの一員として伴奏した記憶がうっすらとある(インターネット前夜のことなので記録は残ってないはず)

 ── と思って検索してみたら、なんと映像がYou Tubeにアップされてた!「タブー・グラマー」というバンド。そうだそういう名前だった。

4分50"ぐらいのところで、左から2番目にボーッと立ってるのが当方です。立ってるだけかい。左端でキーボード弾いてる相棒は、今や現代音楽界の重鎮である有馬純寿

同じステージ。こっちはちゃんと弾いてますな

しかしこんな昔の映像、誰がアップしたのだろう……。

今や渋谷発のインディーズ映画館として確固たる地位を占めているアップリンクファクトリーも、当時は消防署の坂の上の方にあって、夜な夜な実験音楽家やノイジシャンが巣食う梁山泊みたいな場所だったナ…

とかそういった古老の話を、誰かまとめてくれんものかいのう


■ こんな時間 (24時) だが何かおつまみが欲しくなったので、冷蔵庫に転がってたレタスとカニカマに、コーンの缶詰を開けて、塩コショウとワインビネガーを振っただけのサラダ。 (居酒屋さと吉)

切っただけのものでもとりあえず振りかけると何か料理っぽくなるので、ワインビネガーは神調味料


それではまた来週。


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