秋はお茶がおいしい季節〜熟成茶ってなに?〜
街路樹が色づき始め秋の気配が色濃くなってきたこの季節、お茶屋さんをのぞいてみると、「蔵出し煎茶」「秋茶」などと名前がつけられた商品が並んでいます。
「秋茶」と言っても秋に収穫されたお茶ではなく、新茶の時期の4月〜5月ごろに収穫されたお茶の保管中に緩やかに起こる風味の変化の結果出来上がったお茶のことを言います。
"熟成茶"なんて呼ばれることもあります。
肉や魚、ワインなどと同じように"寝かせるとうまい!"というのは、日本茶にも共通して言えることなのです。
熟成茶のおもしろさは何と言っても”苦渋みが取れたまろやかなうま味”が際立つ味わいのお茶に変身すること。
熟成茶ってなに?
お茶は元来、保存食品です。
適切でない保存状態だと、日が経てば経つほど劣化しますが、正しい保存方法で寝かせると"熟成"するんです。
江戸時代、お茶好きの徳川家康は、5月に採れた新茶を壷に入れて、標高1200mの静岡市の大日峠という山奥に運ばせ、夏の間冷涼な高地で大切に保管して、秋になると駿府城にお茶を運ばせて熟成したお茶の深い味わいを愛したといわれています。
熟成茶はまろやかな味わい
5月ごろに販売されている「新茶」は"新鮮な香り"が特徴ですが
熟成茶は"苦味が取れたまろやかな味わい"が楽しめる優しい味わいになります。
熟成茶の作り方
茶葉は「直射日光、湿気、温度変化、移り香、酸化」に弱いです。
適切でない保管方法では、日が経つにつれて茶葉は徐々に赤みを帯びて香りが失われていきます。
できれば未開封のお茶を密閉容器に入れて、冷蔵庫か冷暗所で保管しておくのが良いです。
(冷凍庫じゃなくても大丈夫!)
その状態で半年ほど寝かせると、苦渋みが少なくなりうま味が増した"熟成茶"が完成!!
熟成に適したお茶
殺青(製茶の最初の"蒸し")と乾燥が不十分なお茶は熟成茶には適していません。
スーパーなどで販売されている安価な「深蒸し茶」は、殺青と乾燥が不十分なものが多いので、熟成茶を楽しみたい方は、日本茶専門店で販売されている100g 1000円以上くらいのお茶を選ぶのがオススメ。
多少乱暴な言い方をすれば
「良いお茶は、熟成させてもおいしい!!」
ということです。
実際、新茶の時期に買ったお茶をいくつか半年ほど熟成してみました。
茶屋すずわさん(@suzuwateaworks)の新茶や一保堂茶舗さんの新茶は味と香りの変化があって、熟成茶の特徴がでたお茶のように感じました。
ちょっと手の込んだお茶の楽しみ方ですが、自分でやってみるとお茶の楽しみが広がります。
お茶屋さんの暖簾をくぐってみたらきっと、優しいうま味の熟成茶に出会えると思います。
最後まで読んで頂きましてありがとうございました!