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日本平 手摘み やぶきた

「日本茶の品種で何か知っている名前はありますか?」と聞いてもなかなか思いつかない方が多いのではないかと思います。
お米の「コシヒカリ」「あきたこまち」などといった品種が日本茶にもあります。

日本茶の代表的な品種に「やぶきた」という品種があります。

全国で栽培されるお茶の約70%が「やぶきた」という品種のお茶です。
お茶どころ静岡では80〜90%が「やぶきた」なので、スーパーや専門店で流通しているお茶のほとんどが「やぶきた」あるいは「やぶきたブレンド」のお茶ということになります。


「やぶきた」とは?

日本でもっとも多く栽培されている品種「やぶきた」。
その発祥地が静岡市の日本平であることをご存知の方はなかなかの日本茶通だと思います。

「やぶきた」は、静岡の篤農家杉山彦三郎によって選抜された品種です。

杉山彦三郎は明治41年に、日本平の地で自らが所有する竹やぶを開墾し、お茶の種子を蒔いて茶園をつくりました。
その中から2本の優良系統を選抜し、やぶの北側に植えたものを「やぶきた」、南側に植えたものを「やぶみなみ」と名前をつけました。

杉山彦三郎の死から4年後の1945年に「やぶきた」は県の奨励品種に選定され、1953年には農林省登録品種に指定されました。


その後、急速に普及し、全国的に栽培されるようになった「やぶきた」ですが、その味わいは土地の気象条件や栽培管理によって産地ごとに異なります。

お茶を生業とする者にとって「やぶきた」の生まれ故郷のお茶を飲みたい!と思うのは当然のこと。しかも、求めるのは"本物の味"

ということで行き着いた先が、錦園 石部商店


日本平 手摘み やぶきた

現在、お茶の摘採のほとんどが摘採機という機械でお茶摘みが行われていますが、このお茶は1芽ずつ丁寧に手摘みされたお茶です。
ピンっと針のように揃った茶葉を見るとお湯を入れるのを躊躇するほどの美しさがあります。

やぶきたらしい力強い味わい。山のお茶らしい清涼感のある香りと適度な苦渋み、そして何より丸みのある芳醇なうま味がこのお茶の特徴。何度味わっても、初めて飲んだ時の感動が蘇ってくるような優しい味わいです。

煎を重ねるごとに徐々に開いて、一枚の生葉に戻っていく様子、それに伴い変化していく日本茶の奥深い味わいを楽しむことができるお茶でした。



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