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【6.12】旅を終えると、旅が始まる

6月12日は、お母さんの命日。
2014年だったので、今年で10年が経つ。

亡くなってすぐの頃、「もういない」と認めてしまうことになるから、泣くことを頑なに拒否した。お母さんの持ち物を見たら、「もういない」と強く感じてしまうから、あっという間に処分した。持ち主を失った物は、人と同じように魂が抜けて精気が無くなるらしく、見ているだけで体が冷たくなる。
悲しみ続けること、後ろを向き続けることを、ダメなことだとして自分に禁止したら、余計に自分を苦しめた。

あることをキッカケにそれをやめて、ひたすらに泣き、ひたすらに悲しむことにした。苦しくて辛くてたまらないのに、その方がラクだった。
それ以来、お母さんのことを思い出して泣きたくなったら、泣くことにしている。一生悲しむと決めて、それを自分に許した。
それが、お母さんの死という事実との、わたしの向き合い方。

パスポートの有効期限が、数年前に切れた。
最後に海外へ旅したのは、お母さんが亡くなった7ヶ月後の冬だった。

ラスベガスに1ヶ月間の語学留学、アメリカ大陸横断ドライブをしてトレッキング、お母さんが元気になったら行きたいと言っていたハワイを周った。

目的は、わたしの再出発。そして、お母さんの弔い。
アメリカの広大な大地を歩き回って毎日へとへとになった。山道を歩くという目的と疲労が、絶望と悲しみから目を逸らさせてくれた。

ハワイでは、お母さんが気に入っていたネックレスを着けて旅をした。「ほら、お母さんが行きたがっていた場所に来たよ」と。ハワイ滞在時には、弟も合流。英語や海外の人が苦手で、海外旅行なんて絶対にイヤだと言っていたのに、お母さんの思いに寄り添って一緒に周ってくれた。

今まで生きてきた中で一番の深い悲しみで、胸をいっぱいにしていたのに、ハワイの大地はあたたかくて、おおらかでやさしくて、それでいて情熱的な生命エネルギーに満ち満ちていて、歩いているだけで力が湧いた。心も体の細胞も躍り、大地に寝ころばずにはいられなかった。元気をくれた不思議な土地、ハワイに暮らしてみたいなぁと今、ちょっと思っている。

前回の旅から9年が経った。いつでも海外に行けるようにしておこうと思い、新しいパスポートを申請することにした。申請する際に、期限の切れたパスポートの情報を見ると、有効期限の日付が6月12日だった。そして、新しいパスポートを申請したのが今日、6月12日。終わった日に、始まった日が重なった。

終わったものや事に意味を見出したければ、新しく始めるといい。何かが始まったら、それは、終わったものを糧にする。
たくさん辛い思いをして泣いても、その後でしあわせになって笑ったら、こぼした弱音と流した涙が、そのしあわせを支えてくれる。

今日という旅を終えて、明日という旅を始めよう。
次は、どこへ行こうかな。

読んで頂き有り難うございます😊 わたしが見たもの・感じたこと・考えたことについて、思いつくままに書いています。めっちゃWonderな地球暮らし、わたしもあなたもFantasista!ここにある言葉たちが、人生を楽しむヒントになれば嬉しいです☆