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白紙-ユージュアル・サスペクツ-

ありえないくらいハードな日々で、さすがにこの2年ちょっとで一番きついと感じた。
週に4日ほど徹夜しても、人間、生きながらえていることに逆に驚く。
身も心もかなり丈夫にできている私だけれど、今回ばかりは本気で転職が頭をよぎったりした。

働く意味ってなんだろう・・・

などと思っているうちに、昨日最終報告があり、クライアントからかなり良い手応えをもらった。
頑なだったクライアントが、数ヶ月前には考えられなかったような言葉を自ら言う。
私が言いたいその言葉を、クライアント自身が言う。
人の気持ちは「変われ」と言って変わらない。
「変わりたい」方向に、自然と導く努力ができるだけ。

心をひとつにする、っていうのは、とても緻密で、とても丁寧なわざの上に成り立つ。
私はそんなふうなことも、一つのエンタテイメントだと思ったりする。

私自身のできることは、まだまだ中途半端で足りないことだらけだけれど、でも、尊敬できるメンバーと尊敬できるクライアントとの出逢いは、ちょっとした奮起を与えてくれる。

今回のクライアントとの仕事は秋くらいまで続く予定なので、「終わった」という感覚はやや乏しいのだけれど、それでも一つの区切りとしての感覚はいつも感じる。

これから数日残務処理をして、あとは夏休みを待つばかり(おそらく)。

あまりに慌しくて何にも予定を決めることができないでいたので、私の手帳はまるきり白紙。
気持ちいいほど、「この先の自分」が見えない。

本当に、何をしようか。

最近全然観てないので(スター・ウォーズは観たけど)、映画もいっぱい観たいなあ・・・。

「先が読めない」と言えば、私はその手の映画が好きで、コーエン兄弟だとかガイ・リッチーだとかは手当たり次第に観ているのだけれど、そういった中でも特に気に入っている作品が「ユージュアル・サスペクツ」。
1996年の映画で、観たのは学生時代だったけれど、そのとき感じた「膝を打つような」小気味よさをよく憶えている。

麻薬取引の罪で取調べを受ける男。
刑事が知りたいのは「カイザー・ゾゼ」という妙ちきりんな名前の冷徹残酷なギャングのこと。
取り調べられる冴えない男は、凶悪犯「カイザー・ゾゼ」を知る重要な人物で、「ゾゼ」についての情報を話すなら、釈放してやろうと持ちかけられたのだ。

「ゾゼ」の本当の姿は、誰も知らない。
全てが謎に包まれた存在で、刑事は手をこまねいていた。

取調べをうける男は、おもむろに話し始める。
「ゾゼ」について。
彼の恐ろしさと大胆さについて。

思わずじっと耳をそばだててしまう、それは面白く、恐ろしく、豪快なエピソード。
嫌でも「カイザー・ゾゼ」に興味が湧く。

作品の特性上、多くをここで書くわけにもいかないけれど、類を見ない軽妙かつ緻密なプロットは一種の感動であったりする。

こういう優れたプロットは、あらかじめ全体が見えてから書き連ねられるのだろうか。
それとも、書いていくうちに次の展開が見えていくのだろうか。

ひらめきのように、訪れる次の展開。
先が見えないことの、歓び。ドキドキ。

白紙の未来は、本当に白紙なのか、それともあぶり出しなのか。

運命という存在に尽きない想いをめぐらせる。
いずれにしても、面白い。

ユージュアル・サスペクツ The Usual Suspects(1995年・米)
監督:ブライアン・シンガー
出演:スティーブン・ボールドウィン、ガブリエル・バーン、チャズ・パルミンテリ

■2005/8/3投稿の記事
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