見出し画像

悩みの解決法-ロード・オブ・ザ・リング-

週末、少しショックなことがあって、久しぶりに凹んだ。
凹んだときには、そこからどうにか抜け出そうともがくもので、いろいろとトライ&エラーがある。
苦しいがばかりの闇雲なトライは余計に事態を悪くすることもあるから、やっかいだ。

私の場合は、ともかく友達に話をしてみる。
相談するというよりは、「こんなことがあった」と話をしてみる。
そうすることで、結構、気持ちが落ち着くし、考えが整理できる。
話していると、「ああ、そうか」と新たな一面が途端に道を開いてくれることもある。

2年以上前だったか、ものすごく凹んでいるときに観た映画の話。
あまりに凹みすぎていて、ひとりでいられないので、友達夫婦の家に転がりこんで、「どうしたの?」と訊かれても答えることができずソファに埋もれて縮こまっていた。
ごはんを出されても口にできなかった。
ぐずぐずとその晩泊めてもらって、翌日ふたりが映画を観に行くからというのでくっついていった。

吉祥寺の映画館。
「ロードオブザリング」だなんて・・・というよりも、たとえどんなタイトルでも、とても映画を観るような気分じゃなかった。
それでも、映画を観ずにいられるような気分でさえなかった。
何をどうしていたって、きのうの失敗と後悔で頭も心もいっぱいだった。
それが、だ。

凹んでいるときって、感受性が特別強くなるんだろうか?
ごくごくありきたりの台詞だと思うのに、ガンダルフのある言葉が深く刺さってしまったのだ。
指輪を持ち出したために波乱を招いてしまったことを悔やむ主人公に対して、その老人はこう言った。
「つらい目にあうと皆そう思うが迷っても遅い。それより大切なのは今自分が何をすべきかを考えることだ」

本当は原文の意味とは違うのだそうだが、そんなことはどうでもいい。
普段の私なら、しゃらくさいと言ってしまったに違いないこの言葉が、あらゆる真実を含んでいるという気がした。
不意打ちに、そんな気がしてしまった。

映画館を出て、帰り道、やっと私はいったい何があったのかを友達夫婦に話し始めることができた。
「あの台詞、なんか、ほんとにそうだなーと思った」と言ったら、友達も「君はそう思っているだろうと思った」と言った。

そのとき以来、何か心苦しんだり、悩むことがあったら、こう考えることにしている。
この世の悩みは二つに分けられる。
取り返しのつかないことと、取り返しのつくこと。
取り返しのつかないことはどうしたって取り返しがつかないのだから、悩むだけ無駄。
取り返しのつくことは、取り返しがつかなくなる前に取り返なさなければならない。

自分が今、何をすべきかよく考えろ。

これでほとんどの悩みがシンプルになった。

で、今回の悩みだが、これはきっと取り返しのつくことだと思う。
というか、今後の自分自身に全てがかかっていることだと思う。
くよくよとする前に、冷静によく考えるべきときだと思う。

今回も友達に話してみた。
こんなことがあってね、と順を追って説明してみた。
様々な客観的な事実や、背景や、自分が置かれている状況、相手が置かれている状況、私なりに少し見えた気がした。
話し始める前には想像もしなかった道が開けた。
だから、人生って面白い。

私の本領とも言うべき、「理性」が回復された気がした。

もう、大丈夫。(のはず)


ロード・オブ・ザ・リング THE LORD OF THE RINGS:THE FELLOWSHIP OF THE RING(2001年・米/ニュージーランド)
監督:ピーター・ジャクソン
出演:イライジャ・ウッド、ヴィゴ・モーテンセン、リヴ・タイラー他


■2004/7/20投稿の記事
昔のブログの記事を少しずつお引越ししていきます。

サポートをいただけるご厚意に感謝します!