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冬のニューヨーク-ある愛の詩-

今日はとびきり寒い日で、身体が思いっきり冷えた。
熱いシャワーがすごく幸せ。

日本の家屋は寒い。
エアコンなんかじゃそうそう暖まらない。

今のチームのマネージャーはニューヨーク在住経験者。
まだ20代の頃、奥さんと一緒に渡米し、自費でコロンビア大に学んだ。
繰り返し彼は,当時の貧しさを語る。

ニューヨークの冬は厳しい。
その街の暖房はセントラルヒーティングで、熱湯が鉄筒を伝って各建物、各部屋まで届き、空気全体を暖めるしくみ。
けれど、かなり寒い季節になっても、「どっかの百葉箱で測った気温」が規定の温度にならなければそれは稼動しないらしく、随分寒い思いをする日もあったという。

「カンッって音がするんだよ」

それは、熱湯が凍った鉄筒を伝わるときの音。
冷え切ったパイプが、凝った首筋をひねるように。

ある日、本当に寒い日、遠くの方で「カンッ」と音がする。
あ、いよいよきたな、と思う。
救われた、という幸福な期待。

カン。カン。カン。カン。
あちらこちらでまばらに鳴る。

カンカンカンカン・・・
やがて音の間隔が短くなる。

カッカッカッカッカカカカ・・・
どんどんどんどん音が高まる。

カンッ。
一番近いところで音がして、そして、ついに彼らの部屋に湯気が上がる。
それを毎年、心待ちにする。

その話を聞いて、なんとも風情のあるシーンだと思った。
風物詩、という言葉がぴったり。

貧しかったかもしれないけれど、楽しく温かい生活も垣間見れる。

思い出すのは映画「ある愛の詩」。
オリバーとジェニーは大学で出逢って恋に落ち、親の反対を押し切って結婚する。
ハーバードのロースクールに通うオリバーは、大金持ちの親からの送金を止められてしまうけれど、ジェニーが働いて学費と生活費を稼ぐ。
貧しくとも、愛に溢れた生活。

ロースクールを卒業して弁護士となったオリバー。
ふたりはニューヨークへ移り住む。
その矢先、ジェニーは不治の病に侵され倒れる。

有名なのは、同名主題歌と「愛とは、決して後悔しないこと」という名台詞。
露と消えたジェニーの面影を求め、オリバーはセントラルパークのスケートリンクの傍らにたたずむ。

ふたりが無邪気にはしゃいだ思い出の場所。

私はニューヨークに行ったことがない。
でもなぜか、あの街の印象は特に冬が強い。


ある愛の詩 Love Story(1970年・米)
監督:アーサー・ヒラー
出演:ライアン・オニール、アリ・マッグロー、レイ・ミランド他

■2005/2/9投稿の記事
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