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『小さな選択の中に必ず自分の根幹になる原動力がある』TABETE COO篠田沙織さん

廃棄の危機にある食事をアプリやWeb上から購入できるサービスを提供しているTABETE

メンバー山根の1人取材第2弾でお話を伺わせて頂いたのは、TABETE COO 篠田沙織さん。

大学時代は自分に合うものを見つけなきゃというプレッシャーが強く、7つのバイトを経験されたそう。チャレンジし続けた先で見出した篠田さんの軸、そして想いに迫りました。

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TABETE COO 篠田沙織さん(写真左)

篠田沙織さん小学校2年生で白血病になり、食事制限を受けた経験から、食の重要性を身をもって実感。そこから人生を「食」に捧げると決意。
新卒で大手グルメサイトに入社後、飲食店営業並びにwebディレクターを経験。ビジネス側とプロダクト側の両面からサービスの運営を経験する。その後、TABETEにジョイン。現在はCOOとして、「TABETE」の飲食店営業からプロダクト設計まで幅広く活動している。

「1番根幹にあるのは、小学2年の時にかかった白血病」

WI山根:日本女子大学文学部英文学科を卒業されていますが、進学しようと考えたきっかけを教えて下さい。

篠田沙織さん(以下篠田さん):もとは栄養士になりたかったの。そんな中受験生活を通じ、栄養士じゃなくても食の仕事ができると気付いたんです。食×〇〇で勉強しようと思った際に、思いついたのが”英語”。食を英語で伝えることで、活動範囲を広げていきたいという想いから英文学科に進学しました。

WI山根:インターンに接客アルバイトを7つほど経験されていたと他メディアの記事で拝見しました。挑戦的な大学生活を送られていたんですね。

篠田さん:大学生の間に自分に合うものを見つけなきゃというプレッシャーが強かったんです。これを払拭するには、働く経験を多く積むことでしかないって思っていました。

1番楽しかったのは某有名カフェ。どの店舗に行ってもお客様第1が徹底されていたのですが、一方でフードロスにも出会いました。カフェでのバイト経験が最終的なきっかけにはなっていますが、1番根幹にあるのは、小学2年の時にかかった白血病。大量に捨てる前提で発注しなければならなかったことに加え、飲食店では大量の食べ残しやドタキャンでコース料理を全部捨てる姿が信じられなかった。

食べられなかった時期の自分とのギャップが大きかったですね。誰もフードロスに困っていないこの感覚が当たり前になっていること自体も怖かった。それを変えていける仕事をしたいという想いが芽生え、今の仕事へ辿り着いた転機にもなっていますね。

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大学時代の篠田さん(右端)

「フードロスの解決”や、“食を通じて課題解決”」という軸に到るまで

WI山根:他にもご自身でイベント企画や運営もされていたと伺いました。白血病がご自身の経験を発信するきっかけに繋がっているのでしょうか?

篠田さん:闘病生活は、食をメインに仕事をしようと思ったきっかけ。2年間ご飯を食べられなかった反動で執着するようになり、これを仕事にしようと思いました。

発信しようと思ったきっかけはRettyでインターンを始めた際に、同期8人の中で突出したスキルがあるわけでもなく、かといって数字が取れるわけでもなかったこと。

焦っていたら「ライティングが好きなら、Twitterを運用して自分が好きなことを発信してみたら」と上司から言われたの。その時期にTwitterの運用方法を書いている「るってぃさん」が「1ヶ月で1000フォロワー」という記事を書いていて、自分が好きなこと発信している一般人でもフォロワーをこんなに増やせることに衝撃を受けたんです。ここが原点になっていますね。

WI山根:インターン時代から新卒で入社し、働かれていたRettyを10ヶ月で辞めてTABETEへ。コミットしようと決意はどこで決めたのでしょうか?

篠田さん:もともとRettyを辞め、TABETEと同じフードロス解決サービスを自分で立ち上げようと思っていました。そんな中で、たまたま自分が主催していたイベントに川越(TABETE代表)が来て、フードロスの狭い業界で競合になるのではなく一緒にやろうという話になったんです。

はじめは副業でやっていました。けれどフードロスや社会起業があまり浸透していない現状と向き合いながら、片手間でやって普及するサービスではないと感じたんです。自分の軸が“フードロスの解決”や、“食を通じて課題解決”をするところに定まりつつあったので、専念しながら突き抜けたいと思い、本業としてTABETEを広げて行こうと決意しました。

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TABETE創業時の篠田さん(右手前)

「TABETEは最終目標ではなく、通過点であり目標の切り口」

WI山根:学生時代から勤めたRettyでのお仕事や人との繋がりの中で、TABETEのサービスや、ご自身のマインドセットに今活きていることはありますか?

篠田さん:飲食店の営業から入り、プランナーとしてSEO(どうやって検索中に挙げるか)など幅広く経験しました。採用難を含め、飲食店が普段どのような事で困っているのか現場の声を聞きながらリアルな課題を学べたことは、今の仕事に繋がっていると感じています。

WI山根:記事に「目標を明確にもつ+発信力」が重要と書かれていましたが、最終目標を持つまでに揺らぎや不安はなかったのでしょうか?揺らぎや不安が出た時のメンタルの切り替え方があれば、教えて下さい。 

篠田さん:TABETEは最終目標ではなく、通過点であり目標の切り口。最終目標は、食を通じて社会課題をどう解決していくか。例えば食の課題解決をしたい人の支援や投資。または自分がコンサルをするなど支援をする側に回りたいと考えています。

就活までは目標がよくブレる人間でした。ITコンサルや食品商社に関心があった中で迎えた就活では、50社ぐらい受けて全落ちしてしまったことも。自分の能力が分からず、やりたいことがフワフワしていたんです。

就活は、自分の人生を振り返る良いきっかけになりました。人生グラフを書きながら1番凹んでいた闘病時には「食」に惹かれていたことに気付かされた。
文系ではなく理系を、大学を選んだ理由や部活を始め、小さな選択の中に必ず自分の根幹になる原動力がある。私にとっては「食」だと強く思いました。

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社員数も増え、TABETEも300店舗以上に拡大してきた頃の合宿時の篠田さん(右から3番目)

ここに辿り着くまで、目標がないまま走っている期間は、苦しくて仕方なかった。まずは人生に棚卸しして設計する。思っているだけではできることも何も分からないので、実行する。TABETEをやろうと思った際の仲間集めは、Twitterやブログが中心になっていました。

SNSのおかげで自分のメディアを持てる力が個人にあって、自分の目標をガンガン発信しながら仲間や支援してくれる人を囲い込んでいける可能性に溢れてる。自分が作りたい世界観や目標を、声を大にして言える場所がSNSにあるんです。

起業したい、事業をやりたいと悶々と考えているよりも、発信していくうちに自分の意識もだんだん変わっていく。まずはどう目標設定するのか。そして設定した目標をどう発信し、どう発信力を高めるのか。自分の経験を踏まえてどんな学生にもやってもらいたいと思いますね。

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「揺らぎがあったからこそ惹かれた“食”」

WI山根:私も何がしたいのか分からなくなって、ブレる時があって。就活が終わった先輩方を見て、人生の大きな意思決定をしている姿を見てただただ凄いなぁと思っていて。

篠田さん:ブレる経験も大事なこと。私も就活中、関係ない方向にブレたけれど、ITコンサルと“食”を比べてみて、やっぱり“食”だって。

揺らいじゃダメということはなくて、揺らいだら何で揺らいだのか心境の変化を深掘りしていけばいいと思う。

私はその揺らぎがあったからこそ、“食”に惹かれる理由がはっきり見えた。書くこと、誰かに相談することも自分の内面を見つめる方法。自分にとって何がベストなのか追求していくのがいいんじゃないかな。

(取材・文:山根千沙、構成・編集:大山友理)




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