炎の少女チャーリー

 私が初めて読んだスティーヴン・キングの小説「ファイアスターター」を映画化したのが、この「炎の少女チャーリー」です。なぜかスポ根もののようなタイトルになってしまいました。原作がもの凄く面白かったので、期待して劇場に行ったのを覚えています。当時私は中学生くらいでしたでしょうか。原作が面白かったからと言って、期待してはいけないとまだ知らない頃でした。

 とは言えこの映画、決してダメではありませんでした。そりゃもちろん、原作と比べたらあれもないこれもない、とダメ出ししたくなるところはありますが、そんなのは些細な事です。映画の最大の魅力である映像の迫力によって全て帳消しになった感じです。お話は超能力少女が父親とともに悪の組織から逃げるというだけのものです。荒木飛呂彦先生の漫画「バオー来訪者」にかなり影響を与えたストーリーです。超能力少女のチャーリー役がドリュー・バリモア、お父さんがデビッド・キース、殺し屋がジョージ・C・スコットです。配役的には何も不満はありません。

 ちょっとはしょっている感じはありますが、原作が長いので無理は言えません。これでも頑張っている方です。そんなことよりラストの大スペクタクルです。念力発火という超能力の映像化にどれだけ成功しているか、この映画のポイントはここだと思います。そしてそれは成功していると思います。私と同じく原作大好き派の人の中にはラストの大破壊こそがダメだと言っている人もいますが、私的には全然オッケーです。と言うかイメージ通りです。これが観たくてこの映画を観たのです。監督さんもこれがやりたくてこの映画を撮ったのだと丸分かりで逆に潔いと思います。監督はマーク・L・レスターさんです。「コマンドー」の監督と言えば分かるでしょうか。この人には他に「クラス・オブ・1999」という傑作もあります。

 この監督さんはとにかくB級な人で、どんなつまらない映画でもアクションシーンだけは凄いという特徴があります。それも洗練されたアクションではなく、なんか制御不能の迫力があります。それがこの映画の、チャーリーが超能力を暴走させてしまうクライマックスに、ピッタリと合っていたと思うのですが、どうでしょう。

 クライマックスの殺し屋がチャーリーを撃つ時の、弾丸が止まって爆発するところなど、何度見ても鳥肌が立ちます。その後の怒濤の炎地獄は言うまでもありません。こんなにカタルシスがあっていいのか、と当時劇場で観た時も思いました。ドリューの髪がブワッと逆立ったかと思うとバズーカ砲のように火球が飛んでいくのですよ。もう念力の範疇を超えてます。しかし、これもあまり褒めている人が少ない映画ですね。でも私は大好きです。ただ原作はもっと面白いということは念を押しておきますが。

よろしければサポートお願いいたします。