リーサル・ウェポン

 メル・ギブソンとダニー・グローバーの刑事ものバディムービーの傑作「リーサル・ウェポン」についてちょっと書いてみましょうか。これも結構年月が経ちましたが、今観ても刑事アクションの白眉と言っていいでしょう。もう予告からして名作で、公開まで凄くワクワクして待っていた記憶があります。

 まず冒頭の空撮からだんだんとビルへとカメラは寄って行き、そのビルから女性が飛び降り自殺してしまいます。見事な掴みです。続いてダニー・グローバー扮するマータフ刑事登場、メル・ギブソン扮するリッグス刑事登場。マイケル・ケイメンとエリック・クラプトンとデヴィッド・サンボーンの音楽も快調で、観ていて本当に心地いい空間が展開されていきます。この音楽の三人を引き合わせたロジャー・ウォーターズにも感謝しましょう。お話は冒頭の自殺事件を追うマータフ刑事と、自殺願望のリッグス刑事がコンビを組んで悪い組織をこてんぱんにやっつけるという、胸のすくような刑事アクションです。その後のシリーズで恒例となるコメディシーンもまだ抑えめで、渋さが前に出ています。メインの事件を追うかたわら、関係ない事件も解決していくという「ダーティハリー」パターンも踏襲して、新時代の刑事アクションの幕開けという趣きがあります。

 今のノンストップアクションに慣れた人にはスローペースに思えるかも知れませんが、家庭を持つマータフと、妻に死なれ自殺願望のリッグスのドラマを描くには、これだけの時間はやはり必要です。一作目でちゃんと見せたので、その後のシリーズも結構ハメを外せたのだと思います。ゲイリー・ビジー扮する殺し屋ヨシュアも不気味だし、巨大な組織に二人だけで戦うのが燃えます。マータフの娘が誘拐された後、部屋の中で二人で静かに「とことんやってやろう」と決意を確かめあうシーンは痺れます。普通のアクション映画だったら、引き渡し場所でドンパチがあって解決ですが、この映画がカタルシスに満ちているのは、ここでいったん刑事二人が捕まり、拷問を受け、そこから脱出、反撃という怒濤の展開があるからで、この後のシリーズと比べてもスカッとする度合いでは一作目が一番だと言えましょう。特にマータフ刑事が敵のボスの車を一発で仕留めるシーンは、場内から歓声が上がったほどでした。夏休みにオールナイトで観たのでみんな盛り上がったものです。

 追いつめられたヨシュアがマータフの実家を狙うのも定番のパターンでニヤリとさせられます。ラストの対決も、マニアックな三角絞めとか出たりして、グレーシー柔術の人がアクション指導だったそうですけど、時代を先取りしています。リチャード・ドナーの演出もノリに乗っていた時期で、何度も観ても面白い娯楽アクションのお手本と言ってもいい映画だと思います。

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レクイエム映画譚
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2020年代は映画最後の10年だと思うんですよね(私見)。その鎮魂の意味を込めて勝手な感想を書いていきます。

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