ビートルジュース

 また今日も懐かしい洋画について書かせていただきます。ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の「ビートルジュース」です。これは公開したときは観られなくて、後にビデオをレンタルして観たのですが、字幕を見ようと思ったのに間違えて吹き替え版を借りて来てしまい、初見が西川のりおバージョンであったという貴重な体験をしました。ティム・バートンと言えば、私にとっては映画の観方の幅を広げてくれた人なのですが、この時はまだ一風変わったホラーコメディという印象しかありませんでした。

 お話はちょっとひねってあって、平和に暮らす夫婦の幽霊がいる家に、人間が越してきてその平安が乱され、幽霊夫婦は悪魔祓いならぬ人間祓い、「バイオ・エクソシスト」でしたっけ? なんだかそんな呼び名であるビートルジュースに人間を追っ払ってもらうように依頼するのです。

 もう中盤から後半にかけては何が何だか分からない暴走状態で、ただ単にド派手に暴れまくるというだけでなく、急にみんなでバナナボートの歌を歌い出したりとか、ギャグとして突っ込もうとしても、どういう突っ込みをすればいいのか分からないボケが展開されていきます。ビートルジュースがいろんなものに扮装して暴れるというくだりはまだ分かりやすいのですが……。

 そんな好き放題な内容に加え、見せ方がいかにも80年代なアナログ特撮で嬉しくなってきます。当時はまだCG全盛ではなかったのですが、そんな頃から見ても、ちょっと古いのじゃないか? と思えるような手作り感覚に満ちた特撮なのです。いい意味でチープな感じなのですが、実際に予算が少なかったであろうこの映画で、チープさを味に変換できるなど、ティム・バートンさんの手腕はこの頃から冴えていたようです。

 実を言うと、ギャグの一つ一つは爆笑できるほどのものではないのですが、キャストもスタッフも楽しんで作っているんだな、と思えると微笑ましくなってしまって、実際の内容以上に楽しい感じがしてしまうのです。つまり監督の好きなものが、そうそう俺も実は好きなんだよそういうの、という共感できる感覚というか、後のクエンティン・タランティーノの出現で確立されたのですが、映画を観て来た人間の作った映画としての楽しみ方の先駆けのような感じです。イマイチぼんやりした言い方になってしまいましたけど、分かっていただけるかな……。

 そんなわけですので、これの音楽がモロに「地球防衛軍」からの引用なんですけど、あーバートンさん東宝特撮好きなんだなー趣味が合うなー懐かしいなーとか思って楽しむものなんでしょうが、実を言うとこのときはまだ「地球防衛軍」を観ておらず、後にビデオで観ることになるのでした。その話はまたいつか……。

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