バック・トゥ・ザ・フューチャー

 80年代に大ヒットを飛ばした傑作シリーズの第一作目「バック・トゥ・ザ・フューチャー」について書きたいと思います。みなさんもそうでしょうが私はこの映画が大好きで、観る前はただ昔にタイムスリップするだけの映画ね……、みたいに軽く考えていたのですが、当時中学生だった私は、劇場で観てみるとその面白さ、陽気さ、脚本の巧みさ、キャラクターの魅力に打ちのめされてしまい、なんだかんだ言ってハリウッド映画は凄いなあ、と素直に降参したのでした。

 とにかく解説するまでもなく、観ている間の楽しさと言ったらありません。博士にタイムマシン発明したから来てくれ、と呼ばれたマーティーがなんだかんだで過去に戻ってしまい大騒ぎというたわいもないお話ですが、ディテールの作り込みが凄いです。アニメのTVシリーズや漫画の連載ならともかく、たかだか2時間の映画で、ドクとマーティーのキャラクター、デロリアンの設定、過去の両親を取り巻く人物関係など、分かりやすく、面白く説明しつつ、万人に受け入れられるものにしてしまっています。これは本当に凄いことです。

 特に最初にタイムマシンの実験を見せるやり方はうまいと思いました。そこから間髪を入れずテロリストの襲撃から予定外のタイムスリップに入ってサスペンスを高めます。ここら辺りで私などは思っていた映画とちょっと違うぞ、と身を乗り出したわけです。

 さてそんなサスペンスはおいておいて、過去へ戻るとコメディ色全開です。意外な展開に笑いながらもスケボーを絡めたアクションもあり、未来に戻れるかというサスペンスもあり、で最高に盛りだくさんな展開になります。

 もうこんな有名な映画なのでネタバレしてしまいますが、最後のオチだけはちょっと疑問に思ってしまいました。マーティーが現代に戻ってくると、歴史がすっかり変わってしまったので、両親がガラッと変わってしまい、パパはカッコよくなり、ビフは手下みたいな立場になって車を磨いているというアレです。痛快ではあるのですが、なんか過去と変わった家庭で幸せにやっていけるのだろうか、と余計なお世話なことをちょっと思ってしまいました。冴えないパパもパパなわけで、その冴えないながらもいいところがあると思って一緒に暮らしていたんじゃないのかなと。

 その点を除いては、文句のつけようの無い極上のエンターテインメントだと思います。この映画はスティーヴン・スピルバーグが製作で、監督はロバート・ゼメキスだったわけですが、ある意味ゼメキスはスピルバーグを超えたな、と思った映画でもあります。スピルバーグファンの私としては、最大級の賛辞でございます。

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